性的マイノリティーの人が生きやすい環境作り 企業ができることは?
性的マイノリティーの人が働きやすい環境を作るため、企業などができることを考えるイベントが11月14日、東京の経団連会館で行われました。 毎年開催されているwork with Prideというイベント、今年は「企業から変える。」というタイトルのもと、企業の人事担当者や性的マイノリティーの当事者らが集まり、企業の取り組みや社会のあり方などを話し合いました。
冒頭には、歌手で作詞作曲家、役者の中村中氏(トランスジェンダー女性)が登壇し。最近、テレビドラマの現場では、性的マイノリティーの役がある場合、専門家が入り、表現などを監修することが多いと話しました。そして専門家の導入にとどまらず、現場にいる1人1人が性的マイノリティーへの理解をしていくことが必要ではないかと述べました。 また、中村氏が知人で性的マイノリティーの人が、ある会社の採用に際して、取引先に理解してもらえるかわからないといった理由で不採用になったと話すと、聞き手を務めたwork with Pride代表理事・松中権さんは「今日のテーマでもあるが、取引先含め、企業の協働で、社会を変えていくことが必要だ」と訴えました。
次に、日本テレビの取締役執行役員の山田克也氏と日本文学研究者のロバート キャンベル氏のトークセッションも行われました。山田氏は「自分の性的指向を言わないのが当たり前の人生になっていた」が、日テレのカラフルウィークエンドという多様性を考えるキャンペーンのリーダーを務めた際「一生懸命議論して番組を作っている仲間に、自分の当事者性を言わなくていいのかな」と思い、カミングアウトしたと語りました。 そして、以前、夕方のニュース番組立ち上げの際「ミンナが生きやすく」というキーワードを掲げたことについて、性的マイノリティーなどとカテゴライズされていなくても、何らかの生きづらさを抱える人もいて、そうした人たちが生きやすい社会はマジョリティーにとっても生きやすいはず、と考えたと説明しました。そして山田氏は「今後も今までと同じスタンスで仕事をしていきたい」と述べました。 キャンベル氏が「日本に足りないのは、性的マイノリティー当事者がその属性を持ったままで、特に(理解促進などの)活動をしないで、近所で、企業で、生きていること。そういう姿が見えないと、周りには、そうした人はいないと思わせてしまう」と話すと、山田氏は「多くの人は(性的マイノリティーだとは)言えない。取引先を含めて、気持ちが伝わっていくような環境作りの一端を担うのが企業の役割ではないか」「うちの取締役にもゲイの人がいますよ、と会話に出てくるくらいになるといい」と思いを語りました。