「一緒に演奏したい……」ピアニスト・上原ひろみの挑戦とは?新譜『Sonicwonderland』を教えて!
注目すべきミュージシャン、映画や本を音楽ジャーナリスト/編集者の伊藤なつみがセレクト。ここでしか読めないインタビュー&レビューをお届け。 _____________________ 【写真を見る】2024年はのんびりしていられない?話題の展覧会10選を一挙公開。 毎回、さまざまなプロジェクトを立ち上げ、斬新な新作を発表するピアニストの上原ひろみ。今回はキーボードを弾く楽曲が増え、大学時代の友人オリー・ロックバーガーが歌う楽曲もあり、そしてバンド編成もアドリアン・フェロー(ベース奏者)、ジーン・コイ(ドラム奏者)、アダム・オファリル(トランペット奏者)を迎え、アルバム『Sonicwonderland』を完成させた。早速インタビューしてきた。
作曲家魂に火をつけたベース奏者アドリアンの演奏
――新プロジェクトのHiromi’s Sonicwonderを始めるきっかけは何だったのですか? きっかけはベース奏者のアドリアン・フェローです。アドリアンとは、2016年に当時やっていたトリオ・プロジェクトの代役として来てもらって、何公演か一緒に演奏したんですけど、初めてとは思えない相性の良さがありました。そこから彼が演奏することを念頭に置いた曲を書きたい、一緒に演奏したい……と思わせてくれたんですね。作曲家として火をつけられるようなプレイヤーだったというのが大きいです。その新しいバンドをやるにあたっていろいろ曲を書き進めて、音像がだんだんはっきりとしてくるなかで、その音像に近いミュージシャンたちを探していき、このメンバーが揃いました。 ――ベースとドラムのリズム隊に加えて、トランペットを入れることにしたのは? リズムセクションに加えて、もうひとつ音のレイヤーが欲しくて、曲を書き進めながらその楽器を何にしようか探していました。「ポラリス」という曲ができた時に、それがトランペットだって、本当にお告げみたいな感じで見えたので(笑)、トランペット奏者ですごく音がふくよかで、深くて、すこしダークで、エフェクトペダルを使える……、そういうサウンドを探していって、アダムを見つけました。 ――「ポラリス」を聴いていて、まさにトランペットが歌っているように感じていました。特にトランペットの旋律の後にピアノの演奏が来て、その旋律を拾ってトランペットがもう一度上がってくる、あの部分がすごく好きです。 わぁ、ありがとうございます。