死ぬまでに食べたい「ぼんごのおにぎり」、2代目店主の物語…古里の味・赤い糸・弟子と「思い」は世界へ
仕込みや握り方など学んだことは数え切れない。何より、女将の明るい人柄と徹底した接客に圧倒された。並ぶ客へのあいさつはもちろん、夏は冷茶、冬は温かいお茶を配り、子どもへの声かけも忘れない。あんなに動き回っているのに、いつの間にかトイレ掃除を終えているのも驚きだ。
修業を経て、ドイツやカナダで握る弟子もいる。その手軽さやヘルシーさが海外でも人気だとか。由美子さんがおにぎりを通じて伝える「人を思う心」も、一緒に世界に広がっている。
遠足のお弁当、母が作ってくれた夜食――。おにぎりには、思い出を呼び起こす力がある。たかがおにぎり、されどおにぎり。人類がこの先もずっとおにぎりを食べられますように。そんな願いを込めながら、今日もおにぎりを握る。(文と写真、粂文野)