私は80歳で配偶者も子どももいません。親から受け継いだ遺産がかなりあるのですが、死後、財産はどうなるのでしょうか?
身寄りがなく相続人が見つからない方の財産は、最終的には国庫に帰属することになります。 しかし、自分の財産を有効利用するために、必要な手続きを行って、特定の目的をもって活動する団体へ寄付する方法があり、最近は死後に自分の財産を、国ではなく特定の目的をもった公益の財団などに寄付したいと思う方が増えています。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
相続人がいないと遺産は国へ
「家族関係が希薄」「子どもがいない」といった事情で、亡くなった方の財産の相続人がいないケースが、ここ数年増えています。相続人がおらず遺言状もない場合、残った財産は最終的には国庫に帰属します。 この金額は毎年増加傾向にあり、最高裁判所の資料によれば、2013年には約380億円でしたが、2022年には約780億円となり、ここ10年ほどで2倍以上になっています。少子化が進み、今後この傾向が続くと思われます。 その一方で、相続人がいないといった事情だけではなく、「相続人同士の仲が悪く遺産分割で対立が予測される」「相続税が多額になり相続人に迷惑がかかる」など別の事情で、「自分の財産を非営利団体などへ寄付したい」という方も増えています。 もし自分が財産を多少残したとしても、「親族間のムダな争いを助長する」「自分の希望どおりには利用されない国庫への帰属は望まない」などの理由により、自分が関心をもつ団体への寄付を希望する方が増えているのです。 このように自分の残された財産を、公益の団体などへ寄付する行為を「遺贈」といい、最近かなり希望者が増えています。この「遺贈」を行うには、生前に手続きを行っておく必要があります。 特に難病患者や交通遺児、世界温暖化対策、増加する難民救済など、社会のさまざまな分野で支援への関心が高まっており、そうした活動に共感し協力したいと考える方が増えている証左といえます。 元々、この自分の残す財産を遺贈したいと考えている方の多くは、配偶者と子どもがともにいない方でした。しかし最近は、配偶者がいる、配偶者・子どもともにいる、という方もかなりおり、社会的にも定着しつつあります。自分ができる最後の社会貢献と考えている方が増えているのです。