阪神・才木 衝撃の侍デビュー星 3回完全7K プレミア本戦へ死角なし「その日のベストが出せるように」
◇侍ジャパン強化試合 日本7―1チェコ(2024年11月9日 バンテリンD) 「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」に出場する侍ジャパンは9日、チェコとの強化試合第1戦(バンテリンドーム)に7―1で完勝した。4回から2番手登板した才木浩人投手(26)は、鮮烈な日の丸デビューを飾った。最速153キロを計測した直球を軸に5回2死からの4者連続を含む7三振を奪い、圧巻の3回パーフェクト投球を展開。初登板で代表初勝利も手にした。13日に初戦を迎える本番へ向け、猛虎が誇る剛腕が万全の仕上がり具合を誇示した。 バンテリンドームに漂った重い空気を、才木の剛球が一掃した。3回を終え、1―1。先発した高橋宏の制球が定まらず、打線も停滞。格下相手に苦戦を強いられた序盤の流れを変えるべく、猛虎の大黒柱がマウンドに上がった。阪神でもお馴染みの登場曲「Mrs. GREEN APPLE」の「Magic」に背中を押され、日の丸デビューの晴れ舞台へ歩を進めた。 「思ったより緊張しなかった。いつも通りの感じで入れた」 気負いなき若武者自慢の直球が次々とうなりを上げた。先頭の5番・プロコップの初球は152キロ。2球で追い込み、3球目の鋭いスライダーで三ゴロ。ムジークはフルカウントからの8球目、高め151キロを振らせ、代表「初奪三振」を記録した。シンデルカはカウント2―2からど真ん中にストレートを突き刺し、見逃し三振。5回もドゥボビーを空振り三振、クビツァを一ゴロ、巧打者の1番・Vメンシクは見逃し三振に退けた。高橋宏に4安打を浴びせたチェコを力でねじ伏せた。 「真っすぐの走りも良かった。ファウルを取れたり、空振りを取ったりできたので、凄くいい感じだった」 ハイライトは6回。5回終了後の華やかなダンスパフォーマンスを引き継ぐかのように、才木がバンテリンドームの中央で舞った。2番・エスカラからの好打順を見逃し、空振り、空振りの3者連続三振。5回2死からの4者連続を含む3回7奪三振のパーフェクト投球が、代表初勝利まで呼び込んだ。3万超の観衆を酔わせる、鮮やかな46球だった。 「無事に登板を終えられてホッとしている。フォークだけ少し感触が違ったので、本戦までに微調整したい」 7日に26歳の誕生日を迎えた。一層増した責任を感じながら、練習の合間にはスマホゲームでリラックスする右腕がいる。同い年の食事会では「ふざけた話題もする」と無邪気に笑う。一歩外に出れば、どこにでもいそうな若者も、世界一が懸かる大舞台では目つきが変わる。「(本戦では)力みすぎず、その日のベストが出せるように」。先発陣の一角として期待が掛かる男に、死角はない。その右腕一本で世界を驚かせる日が、まもなく訪れる。(八木 勇磨) 【近年の主な阪神投手、侍デビュー】 ★能見篤史 13年2月17日、第3回WBCの強化試合・広島戦(サンマリン宮崎)に3回から2番手で2回無安打無失点、3奪三振。 ★藤浪晋太郎 14年11月10日、日米野球壮行試合のソフトバンク・日本ハム連合戦(ヤフオクドーム)に先発。2回1安打無失点、3奪三振も、右手親指に打球を受けて試合中に病院へ直行。 ★青柳晃洋 21年7月24日、東京五輪の強化試合・楽天戦(楽天生命)に5回から3番手で2回3安打2失点、3奪三振。