今季で“退団危機”の選手も多数…「ソフトバンクのドラ1」の苦戦ぶり、戦力になれないケース続く
また2014年以前のドラフト1位選手を見ても昨年一軍の主力として十分な活躍を見せたのはショートの今宮健太(2009年1位)と中継ぎの松本裕樹(2014年1位)しか見当たらない。通算66勝をマークしている武田翔太(2011年1位)も昨年4月にトミー・ジョン手術を受けて長期離脱となり、今年が4年契約の最終年ということを考えると、相当厳しい状況と言える。育成ドラフトでも多くの選手を獲得しているのだから気にする必要はないだろうという意見もあるが、ドラフト1位というのはその年に球団が高く評価した選手であり、それがここまで戦力になっていないというのは何かしらの問題があったと考えるのが自然だろう。 一つ考えられるのが2010年代にチームが常勝軍団となったことでレギュラーの壁が高くなり、それを超えられる可能性のある選手の基準を見誤ったという点ではないだろうか。落合博満監督時代の中日は8年連続Aクラス、リーグ優勝4回という成績を残したが、当時のレギュラーの層が厚く、その後にドラフトで獲得した選手たちがなかなか戦力にならずに現在への低迷に繋がる要因となっている。ソフトバンクについてはFAなどで補強しているためチームがそこまで低迷することはないが、ドラフトについては同様の悪循環に陥っていると言えそうだ。特に吉住、風間、イヒネなどはスケールを重視し過ぎて完成度を軽視したことが苦戦の大きな要因のように見える。 もちろんソフトバンクの球団内部も当然これだけ1位指名の選手が活躍していないことは認識しているはずで、2023年1位の前田などは完成度が高く、これまでの1位指名選手とは少し毛色が異なっているように感じられる。そして、その前田が1年目から二軍で結果を残したことは大きなプラスと言えるだろう。 今後さらに他球団を圧倒する存在になるためにはドラフトでの成功は必要不可欠である。そういう意味でも今後ソフトバンクがどのような方針でドラフト戦略を展開していくかに引き続き注目したい。