100回目の早明戦を前に両監督に聞く(下) お互いを「宿敵」「ライバル」…相手がいてこそ成長し続けた100年
大田尾「今年の明治は『明治』っぽくて、試合が楽しみ」
―今年の早明戦についてです。相手チームの印象、自チームの仕上がり、意気込みをお聞かせ下さい。 大田尾 100回目ということもありますし、今年のチームで勝ちたいという思いが非常に強いですね。 明治さんは非常に調子が上がってきています。去年は廣瀬君(雄也、現・クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)が素晴らしいリーダーで、そういう中で主将を引き継いだ木戸君(大士郎、4年、常翔学園)は、多分序盤の頃、なかなかうまくいかない時間とかあったと思うんですけど、今すごく彼の色が出てきています。今年の明治のカラー、僕は明治っぽくってすごく好きですし、試合するのがほんと楽しい。 ―1年生はすごいですね。 伸び伸びやってますが、でもやっぱりいいのは上級生のFW陣ですね。そこが安定してるし、BKも9番と12番の4年生、3年生が細矢(聖樹、4年、國學院栃木)、野中(健吾、3年、東海大大阪仰星)になって、彼らがいるから1年生があれだけ伸び伸びできるところです。
神鳥「今年の早稲田は強い。最近で最も手応えある相手」
神鳥 うちはスローガン(奪還)通りなので。6年、日本一から遠ざかっている中で、明治が求められるもの、期待されているものは、我々は肌で感じてます。この101年目という新しい歴史を踏み出すにあたって、どうしても優勝というスタートが欲しい。このスローガン通り、大学日本一を取りにいきたいなと思いますね。 ―それは早明戦に勝たなければ達成できないですね。 強いですね、今年の早稲田は。試合を見ていてもそうですし、実際春に戦って完敗しましたし。ここ数年最も手応えがある、歯応えがある相手じゃないかと思うぐらい早稲田はすごくいいので、そういうチームを越えてこそ価値がある。我々は自分たちにフォーカスして、やるべきことをしっかりぶつけたいなと思います。
お互いは「宿敵」「ライバル」…不可欠無二の相手
―最後に、明治大学ラグビー部にとって、早稲田大学ラグビー部にとって、お互いのチームをひと言でいうと、どういう存在でしょうか? 神鳥 「宿敵」じゃないですか、「宿敵」。これ以外ないじゃないですか。 宿敵って、「お互いがいないと成立しない」という関係性だと思うんです。明治が22年間、2018年まで(大学選手権で)優勝できなかった間は、早明戦も盛り上がらなかった。忘れもしないんですが、ボコボコに早明戦に負けた年(2005年度)に、清宮さん(克幸、当時・早大監督)が記者会見で「明治しっかりしろ」っておっしゃったんです。「明治が強くないと大学ラグビーが盛り上がらん。早明戦っていうのはこんな試合しちゃ駄目だ」みたいなことを。両校はどちらか欠けてもダメで、常に頂点を決する存在じゃなきゃダメだと実感させられた瞬間だった。お互いチャンピオンを最近取れてないので、今年こそ2校でチャンピオンを争うようなシーズンにしたいと思います。 ―早稲田にとっては? 大田尾 うーん。表現が難しいですね。(長い沈黙)やはり「ライバル」ではないでしょうか。 ―昨日インタビューした神鳥監督も、「宿敵」とおっしゃっていました。英語と日本語の違いはありますが、同じお答えで驚きました。 僕も、宿敵かライバルか、迷いました。簡単な構図で言うと、明治さんは大きくて上手で速いんですよ。それに対して早稲田が、どういう施し(対策)を自分たちにしたら勝てるのだろう、と考えさせられる相手です。何も考えず何も講じずには勝てない。やっぱり自分たちを大きく成長させてくれる相手です。自分たちが成長する上で、この1戦があるというのは、非常に大きなことです。 ―12月1日が楽しみになって参りました。ありがとうございました。
西田哲