がれきの上に立つ血だらけの母、大八車に山積みの遺体…「初めて、絵を描くことが苦しかった」 福岡の美術学生がヒロシマとナガサキに向き合って抱いた平和への願い
▽「最悪の状況」を描き、心に残す 被爆者で広島市の原爆資料館を務めた原田浩さん(85)は長年、基町高の活動に協力してきた。被爆者の記憶を若者が絵画にするという試みは「最良の継承方法の一つだ」と断言する。「ある意味、人が経験する出来事の中でも最悪の状況を描くことを若者に強いている。だからこそ、被爆者の話が生徒たちの心の中にいつまでも残る」 厚生労働省によると、被爆者健康手帳を持つ被爆者の平均年齢は、今年3月末時点で85歳を超えた。人数は10万6825人と、ピーク時の3分の1に。いずれ来る「被爆者なき時代」において、絵は戦争と核兵器の愚かさを生々しく語る重要な遺産になる。 原田さんは広島から福岡へと継承の輪が広がってきたことを歓迎する一方、危機感もにじませる。「被爆者がいなくなれば不可能になる活動だ。一刻も早く取り組みを進めなければならない」
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