韓国大統領、戒厳令を宣布も数時間後に解除 国内に衝撃
(CNN) 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は4日、数時間前に宣布した戒厳令を解除する考えを表明した。尹氏の措置は国を政治的に不透明な状況に陥れ、与野党の議員から猛反発を招いていた。 尹氏は3日、夜遅くに突然行った演説で戒厳令を宣布。理由として、議会で過半数を占める野党「共に民主党」が検察幹部の弾劾(だんがい)や政府予算案の拒否に動いていることを挙げ、同党の親北朝鮮姿勢や反国家行為を批判した。 これに対し、韓国政界は直ちに反対で団結し、議員らは戒厳令の阻止に動いた。韓国国会(定数300)では190人が戒厳令の解除に賛成する票を投じた。 禹元植(ウウォンシク)国会議長は全会一致の投票結果を受け、尹大統領による戒厳令を「無効だ」と位置づけ、尹氏に「即刻解除」を要求した。 大統領が所属する与党「国民の力」も、尹氏に戒厳令の取り下げを要請。聯合ニュースによると、議員らが戒厳令の阻止の投票を行った直後、党の会議で反対意見がまとまったという。 韓国の大統領が前回、戒厳令を宣布したのは1980年。当時は学生や労働組合主導の蜂起が全国規模で起きていた。3日には軍隊が国会議事堂への進入を試みたり、反対の声を上げる国民が議会前に集結したりする事態となり、痛ましい独裁政治の過去の記憶がよみがえった。