「ピクニック気分? いや~、なかった!」青学大・原晋監督が戦慄…箱根駅伝で“異次元の区間新”駒大・佐藤圭汰の衝撃「(状態は)80%ぐらいです」
駒大・藤田監督も佐藤の走りに驚嘆
また、藤田敦史監督も驚きを隠さなかった。 「あいつの力だったら区間記録を1分ぐらいは更新してもおかしくはないと思っていましたが、それでもいとも簡単にやってのけるのは、すごいと思いましたね。本来は7区に入るような選手ではないので、力からすればあのぐらいの差(※区間2位と1分38秒差)は付くだろうなと思いますけど、それを分かってはいてもなかなかできないのがこの競技ですから」 有言実行の走りを見せた佐藤をこう高く評価する。 出雲駅伝と全日本大学駅伝を欠場し、8割の状態だろうと箱根の王座奪還の鍵は佐藤が握っていた。 「3区か7区かで迷っていたんですよ」 藤田監督は、佐藤の起用についてこう明かす。 「直前に谷中(晴、1年)の状態が良くなかったので、どうするか悩んだんです。どちらがアドバンテージが取れるかなと考えましたね。3区はたぶんそんなに差が付かない、でも、7区に圭汰を置いたら差が付く。そう思ったので、3区を1年生でしのいで、復路でもう1回チャンスを作れるようにと圭汰を7区に置きました」 結果論になるが、谷中も区間6位で耐え1つ順位を上げる粘り強さを見せただけに、藤田監督の判断は吉と出たと見ることができる。今回の箱根駅伝が最後まで目を離せない展開になったのは、間違いなく復路での佐藤の快走があったからだった。 佐藤は、走れなかった期間、ヤコブ・インゲブリクトセン(ノルウェー)やニールス・ラロス(オランダ)といった、世界の舞台で活躍するヨーロッパ選手の動画を見てモチベーションを高めていたという。 「こんなところでケガをしてくよくよしていたら、絶対にこういう選手たちに追いつけない。自分も頑張らないとなって思いました」
箱根の距離は「これからのトラックレースに活きてくる」
佐藤はもともとトラック種目を得意とする選手で、トラックで世界を目指している。一方で、前回の箱根3区、そして今回の7区とハーフマラソン超の距離にも対応できることを証明した。 「このハーフマラソンを走る能力をつけられたことは、これからのトラックにも活きてくると思います。本当に良い取り組みができました」 このスタミナをベースに、今年は新年度に入学してくる800m日本記録保持者の落合晃(滋賀学園高)とともにトレーニングし、スピードを磨いていくという。 「5000mは12分台に行かなくちゃいけない。1500mだったら3分33秒まではいかないと。そういうトレーニングをしない限りは、世界には行けない。それには落合の力も必要。お互いの力で、そういうチャレンジをしていきたい」(大八木総監督) 昨年はケガで足踏みをしたが、その間に佐藤は内転筋など臀部や太もも周りの筋肉を使えるように動きを改善してきた。怪我の功名があり、さらに新しい練習パートナーを得た佐藤が「100%」の力を発揮した時、果たしてどんなパフォーマンスを見せるのか。 おそらく今回の箱根路以上に、我々は度肝を抜かれるのではないだろうか。
(「箱根駅伝PRESS」和田悟志 = 文)
【関連記事】
- 【レア写真】来年から駒大の大エース・佐藤圭汰の練習パートナー「超意外な選手」はこの人&佐藤の箱根での大爆走…「そんな、謝るなよ…」山の5区を激走して疲労困憊の往路アンカー山川“TVに映らない”ゴール後の様子も見る
- 【駒大の誤算】「青学大は上りが強い…」「全日本では凌げたが箱根駅伝は…」往路4位・駒澤大が青学大との差を感じた区間とは? 主力を襲った「誤算」と「異変」
- 【あわせて読む】「陸上人生で初…なんだコレ」青学大・原晋監督“じつは異常事態だった”3区、失速の原因は? それでも箱根駅伝で負けない異様さ…TV解説者の“発言”
- 【こちらも読む】箱根駅伝「史上最速の2区」で分かれた“エースたちの明暗” 青学大・黒田は晴れ晴れ、国学院大・平林はうつむき…駒大・篠原は「適性には勝てない」
- 【真相】「箱根駅伝は分かりません! 黒田が12位です」テレビ実況も“ダマされた”…青学大2区・黒田朝日“12位からの大逆転劇”、記者が見た「最強留学生への戸惑い」