財政健全化、「25年度のPB黒字化を目指す」と明記-骨太方針原案
(ブルームバーグ): 政府は11日公表した2024年度の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」原案で、25年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)黒字化目標を維持する方針を明記した。
原案は、財政健全化の「旗」は降ろさず、「25年度の国・地方を合わせたPB黒字化を目指す」とした。債務残高の対国内総生産(GDP)比の安定的な引き下げも目指し、経済再生と財政健全化を両立させる歩みをさらに前進させるとした。
「25年度のPB黒字化目標」という言葉を3年ぶりに明示した上で、「金利のある世界」での利払い費増加への懸念や市場の信認確保にも言及。政権としての財政への危機感をより明確にした。同時に「状況に応じたマクロ経済政策の選択肢がゆがめられてはならない」とも指摘しており、従来取ってきた「経済あっての財政」の基本姿勢は堅持した。
自民党の財政政策検討本部はPB黒字化目標への固執に「断行反対する」とする提言をまとめたほか、一部議員からは撤廃論も出ていた。原案は今後、与党との調整を経て月内にも閣議決定する。
21年の骨太の方針では、25年度のPB黒字化と債務残高の対GDP比の安定的な引き下げを目指す財政健全化目標を「堅持する」と明記していた。22年と23年は財政健全化の「旗」を降ろさず、「これまでの財政健全化目標に取り組む」などの表現にとどめていた。
中期的な枠組みとして原案は、人口減少が本格化する30年度までの6年間を対象期間とする「経済・財政新生計画」を定め、経済・財政一体改革を推進する方針も掲げた。最初の3年間に「集中的に改革を講ずる」とした。
岸田文雄首相は11日夕の経済財政諮問会議で、「30年度までに新たな経済ステージへ移行させ、持続可能な経済社会への軌道に乗せる」ため、経済・財政・社会保障を一体とした改革を進めると語った。鍵となるのは物価上昇を上回る持続的・構造的な賃上げだとも指摘した。