テーマカラーを持つ、あえて不揃いにする...フランス流「自分軸のある」センスの磨き方
緑色のペンは祖母の目印、赤いベレー帽はいつものムッシュー
私たち夫婦が日本に5年間住んでいたときに、フランスの家族や親戚からたくさんの手紙が届きました。 ある日、ポストの手紙を手に取った夫が「緑色のペンは、祖母の目印」と教えてくれました。 フランス人のパスポートには瞳の色の表記があるのを知っていますか? 祖母は瞳の色である緑色が大好きで、服もアクセサリーも、そしてペンの色も揃えてしまう人でした。 そんなふうに自分の「好き」を表現して、自他ともに認める「緑色のペンの祖母」になったのです。 このエピソードをきっかけに、私も自分の色のペンを探していますが、「コレ!」という1本にまだ出会えていません。 もし、あなたが自分の目印のペンを選ぶなら、何色にしますか? 近所のカフェで毎日コーヒー1杯と新聞を頼む、60代のムッシュー。彼のトレードマークは赤いベレー帽子。 挨拶とともに「帽子がお似合いですね」と声をかけると、「いつも同じでいいんだ。遠くから見ても赤いベレー帽子が見えたら俺のことわかるでしょ」と返ってきました。 彼の言うとおり、カフェでもマルシェでも、赤い帽子がチラッと見えると「あ、あのムッシューがいる」と思うのです。 そして、このエピソードで思い出したイヴ・サン=ローランの名言があります。 Les modes passent, le style est éternel.(ファッションは色あせても、スタイルは永遠のものだ) いろんなファッションに手を出して、トレンドを追い駆けてきたからこそ、自分のスタイルを築くことの大切さに気づくのでしょう。
大切な人の思い出の品「形見」をさりげなく身につける
古い物と新しい物を融合させて独自のスタイルを確立している人に、つい目を奪われることがあります。彼らは、家族の形見であってもうまくスタイリングしています。女性はピアスや指輪などのアクセサリー、そしてバッグや帽子、手袋などの小物を受け継ぐことが多いようです。亡き祖母がどんな人だったのかの思い出や学んだことなども教えてくれます。 そもそも形見とは、亡くなった近しい人が日常的に使っていた物や、その人にとって思い入れのあった物。家族や友人、人との繋がりを大切にしているフランス人だからこそ、悲しい出来事も自分の人生の一部として表現してしまうのでしょう。 私には、着物が大好きだった母が手作りした帯留めがあります。興味があることにはすぐ挑戦して、なんでも手作りしてしまう母のエネルギーを思い出す形見です。 あなたには大切な人の形見、ありますか?