お米を「美味しく長持ち」させる保存法を、五ツ星お米マイスターが伝授!
災害時は米よりも「ごはんパック」が有効
さらに、近年気になる災害時の備えについて。精米した米があれば備蓄できていると思いがちですが、生の米はいざという時に困る可能性も。 「災害時はどういう環境に陥っているか、想像する必要があります。精米した米は炊かなければならないので、キレイな水はあるのか、鍋や火は使えるのか、と考えるとリスクが高い。 一方、パックごはんなら温めることさえできればいい。海水や雨水も使えるし、水を選ばないのは大きいです。さらにアルファ米など、湯を沸かさなくても水を注ぐだけで食べられるごはんもあります。いつも保存しているお米は、あくまでも普段の生活用。緊急用に、災害時の備蓄用ごはんも用意しておくと安心です。 過去に、災害用にペットボトルに米を入れて保存する方法もありましたが、そちらも有効です。ペットボトルは丈夫なので、衝撃に耐えられ、ペットボトルごと引っ張り出すことができます。さらにお米を食べ終わった後、水を入れるなどして使えますよ」 確かに、米は「炊く」という調理が必要。いざという時に、炊くことができる環境にあるのか。そう考えると、パックごはんやアルファ米の用意も必須ですね。
炊き立てごはんが復活!美味しい冷凍保存法
最後に、炊いてしまったごはんの美味しい保存法を教えてもらいました。最近の西島さんのお気に入りは『ジップロック』のコンテナー「ごはん保存容器」。以前はラップで包んで保存していたそうですが、今はもう、この保存容器を手放せないとのこと。 「これは底が凸凹していて、レンジで温めた時に、この凸凹に水が溜まるからごはんがベチャッとしないんです。ムラなく加熱できて、ふたを開けてずらす角度で、自分好みの食感に仕上げることができます。ふたをずらす角度が大きいと水分が蒸発して硬めに、角度が狭いと水分がこもるからしっとり。 ラップだと下に置いたごはんが潰れてしまうので、3つ以上は重ねられませんでしたが、これはスタッキングできるし、薄型でスッキリ。冷凍庫の中で場所を取らないのもいいですね。もうこればっかり使っています!」 偶然、筆者も同じものを使っていますが、西島さんのおっしゃる通り、本当にごはんをふっくら美味しく炊き立ての状態に戻せるので、とても気に入っています。使い始めたら、ごはんの冷凍保存はこれ一択になりました。 手順としては、冷えたごはんを冷凍保存すると、冷えたごはんの味になるため、炊き立てのごはんを熱々のうちに保存するのが良いとのこと。その際、ギュウギュウに詰め込まず、内側の線までふっくらと入れます。粗熱が逃げるまで1~2分置き、湯気が出なくなったら、ふたをして冷凍庫へ。冷凍庫にアルミの皿など、急速冷凍コーナーがある人はその上で冷凍してください。食べたい時にふたをずらして電子レンジで加熱すればOKです!(1膳用なら600Wの電子レンジで約2分半が目安) サイズ展開は、大盛用(約300g)、一膳用(約180g)、小盛用(約80g)の3種類。特に小盛用が女性や子どもに人気だそうです。 プロのお米の保存法、いかがでしたか? 今はまさに新米の季節、ぜひ無駄なく、美味しく、食べ切りましょう!
西島豊造
五ツ星お米マイスター。東京・目黒区にある米店『スズノブ』の3代目。北里大学獣医畜産学部畜産土木工学科を卒業後、北海道で水路などの農業土木の設計に携わり、1988年に家業の米店『株式会社 鈴延商店』を継ぐ。五ツ星お米マイスターの資格を取得し、膨大な米と土に関する知識を活かし、新しい米の時代を作るべく産地と消費者をつなぐパイプ役として、産地の特徴を活かした地域ブランド米作りに力を注ぎ、全国を奔走する。
岸綾香