藤原竜也、『全領域異常解決室』は新たな代表作に 『デスノート』夜神月と対になる人物像
この俳優が出ている作品は網羅したいーーそう思わせてくれる存在が誰だって何人かはいるものではないだろうか。私にとってそのひとりが藤原竜也である。現在は彼が主演を務めるドラマ『全領域異常解決室』(フジテレビ系)が放送中だ。回を重ねるごとに私たち視聴者の予想を超えてくる物語の展開、そしてそれを率いる藤原の芝居に魅せられてやまない。 【写真】藤原竜也×広瀬アリスらによる神会議の様子 本作は、最先端の科学捜査をもってしても解明できない“不可解な異常事件”に挑む、「全領域異常解決室」(通称「全決(ゼンケツ)」)の面々の活躍を描くもの。「全決」は異常事件に挑む捜査機関としては世界最古といわれ、あらゆる超常現象やオカルトの類も究明している特別な機関だと知らされていたが、まさかの現在は神々の戦いが繰り広げられているところである。藤原が演じる興玉雅は掴みどころのない、どこか謎めいた人物だったが、じつは彼は「興玉神」という神。猿田毘古神が宿った岩が神格化した存在で、人間から漏れ出す“善意”と“悪意”を見定める能力を持っている。 これらがすべて明かされたとき、合点がいった。興玉の言動の不可解な点のすべてに納得したものだ。“じつは彼は神だった”のだという事実が、これまで私たちが興玉というキャラクターに対して抱いてきたすべての違和感を払拭する答えとなったのだ。作品の設定としては、ある種の必殺技だといえるだろう。ここまで展開してきた物語の整合性を、最終回までに確実に取ることができる。つまり、各キャラクターがエピソードごとにブレたりしたとしても、“彼ら彼女らは神である”という設定を持ってくれば最終的には何もかもがうまくいく。しかし当然ながらこの設定は、物語がはじまる前から決まっていたはず。そこで藤原たちに求められ続けてきたのは何なのか。 本作のメインキャストの誰もが、“自分は人間社会に溶け込む神なのだ”という自覚を持ち、ここまで演じてきたのだろう。興玉たちが神なのだと視聴者に明かされるまでずっとだ。興玉が口にする言葉はときおり謎めいていて、浮世離れした印象を私たちに与えてきた。けれどもこれはセリフそのものの力だけでなく、演じる藤原の言葉の発し方によってもたらされたものでもあっただろう。