盆踊りを牽引する「ロックン河内音頭」の神髄
盆踊りを牽引する「ロックン河内音頭」の神髄 THE PAGE大阪
今年も全国各地で盆踊りが盛況だったようだ。盆踊りは、盂蘭盆(うらぼん)の前後に老若男女が多数集まって踊るもので、年に一度この世に戻ってくる精霊を迎え、また送るための風習に発したもの。ただ現在では娯楽的な要素が強く、大阪でも一大イベントとなっている。
民謡にロックなど融合させたロックン河内音頭
盆踊りで多く歌われるのが、ご存じの「河内音頭」だ。この河内音頭は、河内地方(大阪の八尾や交野など)の土着の音頭を元に明治時代に原型ができたとされる。そんな中、盆踊りの櫓に日本で初めてシンセサイザーを導入し、特にこの時期は大忙しの人気アーティストがいる。 “ロックン河内音頭”を確立させた「天馬鈴若&その一味」だ。ボーカルの鈴若さんは「シーズンになると、50か所くらい回ります。ロックン河内音頭は民謡にニューミュージックやロックを融合させたもので、櫓に太鼓やシンセサイザーを導入して元気よくやっています」と話し、今では当たり前になっているが、そんな天馬流の盆踊りを訪ねた。 この日、25年もの歴史を持つ「江戸堀連合町会盆踊り大会」に足を運んだ。場所は「花乃井公園」(大阪市西区京町堀)だが、夜の8時ともなると、屋台に人が群がり、一方で、櫓の周りで踊る人も大勢いて熱気に溢れていた。
盆踊り、河内音頭の違いは!?
まず盆踊りと河内音頭について、ちょっと説明しておこう。 盆踊りは平安時代に空也上人によって始められた「踊り念仏」が、盂蘭盆の行事と結びついたとされる。鎌倉時代には一遍上人が全国に広めた。室町時代から太鼓などを叩いて踊るようになったと言われる。江戸時代初頭には絶頂を極め、江戸では7月に始まり連日踊り明かし、その熱狂は10月まで続いたという。 河内音頭は1曲約20分。あいさつに始まり、話題の時事ネタなどを節に乗せて歌うもの。戦後は浪曲や洋楽の影響を受け、エレキギターなど電子楽器も演奏されるようになった。 櫓上の歌い手は「音頭取り」と呼ばれ、それぞれの音頭を受け継ぐ弟子や団体など多数の会派に分かれている。今や日本の文化だが、各地にご当地音頭も多く存在し、自治体や商工会などが作ったオリジナルの地域的音頭も増えているという。 「ここの盆踊りは25年前から毎年やってます。盆踊りは楽しいですよ。普段は会わへん人とも会えるし、地域の人たちの顔を見られるのもうれしい。同時にまた盆踊りを通して地域の結束力も高まる。天馬さんには当初から毎年、ずっと来て頂いてます」(大会実行委員長の尾松正章さん)