『明日カノ』の次はガールズサスペンス! 新連載『パーフェクト グリッター』はどのようにして生まれたのか《著者・をのひなおインタビュー》
ドラマ、アニメ、映画、映像化した自分の作品を観たい
――ここまでお話を伺ってきて、タイトルの『パーフェクト グリッター』はSNSにおける加工、若者の生態についての暗喩のように感じたのですが、いかがでしょうか? をの:メイクで目元に使う「グリッター」ってあるじゃないですか? すごくキラキラしていて綺麗なんですが、私が使うと塗ったばかりなのにヨレていたり、物によっては時間が経つと汚くなってしまうんです。パッケージされている時はとっても美しいのに、実際に使ってみると上手くいかない。この感じのニュアンスを担当編集さんに伝えたら「最高のタイトルじゃん!」って言われました(笑)。 その後、グリッターについていろいろと検索していたら「若い子にしか似合わないわけじゃない!」みたいな感じで、大人の女性に向けたグリッター紹介記事が出てきたんです。それを見た時に、“グリッターは若い子にしか似合わない”という価値観があるのだと気付かされました。それも含め、タイトルの意味合いとしてすごく良いなと。 ――作品の舞台やキャラクターについても詳しく教えてください。 をの:まず、今回の舞台は渋谷です。実際に歩き回って見て感じた夜の渋谷の街、もちろん昼の渋谷も描いているので、街の雰囲気を楽しんでもらえたらと思います。 主人公・モモに関しては、もしも都内に住んでいたらこういう性格にはならないよねっていう話から郊外の実家暮らしという設定になりました。 ――彼女が抱える、家族や友達などのリアルな他人の前での振る舞いがわからないという葛藤は心にくるものがありました。
をの:私自身、大人数の集まりが苦手なタイプですし。自分では上手く演じているつもりでも、傍から見たらピエロみたいに思われているんじゃないかと焦ることがあります。そういった気持ちを上手く隠したり、隠せなかったり……。少なからずみなさんが抱えているものだと思いながらモモを描いています。 ――最後に、本作を通じて作家として実現したい夢がありましたら教えてください。 をの:私は『明日カノ』がデビュー作なので、それこそ『明日カノ』しか描いたことがない。ですので、まずは2作品目となる『パーフェクト グリッター』をしっかり描き切りたいです。あとは今作でも映像化が叶ったらなと。『明日カノ』がドラマ化した時は、いち視聴者として本当に楽しませていただきました。その時の記憶がずっと残っているので、ドラマ化だけではなく、アニメ、映画など、今作でも映像化した自分の作品を観ることができたら嬉しいです。