『明日カノ』の次はガールズサスペンス! 新連載『パーフェクト グリッター』はどのようにして生まれたのか《著者・をのひなおインタビュー》
をの:またゼロから新連載の企画を考えていくなかで、担当編集さんからは「リアルさを追求すると同じような作品しか描けなくなってしまい、自分の首を絞めることになる。もっといろいろなジャンルに挑戦した方が良い」と言われました。それでいろいろとネタを出しあった結果、サスペンス要素を入れようという話になり、1話が出来上がった感じです。 ――『明日カノ』完結直後のインタビューで、「次回作は『明日カノ2』にならないようにしたい」と仰っていたのが印象的でしたが、今回は初のサスペンスものということで、その宣言通りになりましたね。 をの:そうですね。読者さんから「明日カノでやれば良かったじゃん」とがっかりされたくなかったので、それは自分のなかでも意識していました。前作のようにリアルさを全面に出すような作りではなく、これまでにない展開を入れていこうというのは打ち合わせ時によく話していました。 ――その他に、打ち合わせ時に頻出していたワードや話題はありますか? をの:SNS嫌だな……みたいな(笑)。SNSと承認欲求の話をよくしていました。『明日カノ』でも承認欲求に繋がるお話が多かったと思うのですが、やっぱり承認欲求って私はもちろん、誰もが持っているものなので本当に厄介だなと。 ――SNSの普及によって承認欲求を満たしたい欲がさらに加速したように感じます。 をの:SNSの世界があるから、自分だけで完結して承認欲求を満たすことができる。それによって、昔よりもリアルな人と人の繋がりが希薄になっているように思います。一方で、私たちはSNSやメール、電話のお陰でいつでもどこでも誰かと繋がることができます。それは確かに良いことではありますが、悪いこともあるんじゃないかと感じるんですよね。
――『パーフェクト グリッター』の主人公・モモもSNSに写真をアップしては少ない“いいね”を糧に漫然とした日々を過ごしています。 をの:以前、「今の10代はSNSの方が自分らしくいられる」という内容の記事を読んだのですが、確かに周囲の若者たちを眺めているとSNSが本体で、むしろこっちの現実世界の方をバーチャルのように捉えているんじゃないかと。そう思う時が結構あるんですよね。だけど、渋谷のクラブ通りに集う若者たちを見ていると、SNSが本体と言いつつ、若いエネルギーが溢れているようなところもあって……。打ち合わせでは、そういった若者の生態についてよく話している気がします。