【阪神JF】キズナ産駒が初勝利を掴むか 京都外回りの2歳女王決定戦/長岡一也
【長岡一也=コラム「競馬白書」】 ◆初の外国調教馬メイデイレディにも注目 今年は京都で開催される暮れの2歳チャンピオン決定戦なので、例年とは異なる見方をしなければならない。2歳女王決定戦の阪神ジュベナイルフィリーズは、いつもなら春の桜花賞と舞台が一緒なので、その結果がダイレクトにクラシック第1弾につながる可能性が大きいと見てきたが、今年は京都の外回りのマイル戦だから、ちょっと違うところがある。 3~4コーナーの下り坂が特徴で、外を回すと振られるロスが生じるので、各馬ともここをどうこなすかがポイントとのぞんでくる。当然、枠順と脚質がどう噛み合うか、考えどころになっている。キャリアの浅い若駒たちだが、ここまで広いコースでの実績があれば、それは強調材料になっていい。 それと次世代を担う2歳馬たちだから、その種牡馬たちに関心が集まる。サイアーランキングを見ると、今年はキズナの存在が一頭抜けている。長く君臨したディープインパクトの後継種牡馬としての地位を、どうやら固めつつあるのだが、この阪神JFでは、まだこの産駒は勝っていない。 キズナ産駒が初めて出走したのは5年前の2019年、このときには3頭が出走していた。ダイワメジャー産駒のレシステンシアがレコードタイムで逃げ切ったレースだったが、このとき5馬身差の2着に入ったのが、キズナ産駒のマルターズディオサだった。その後4年間でキズナ産駒は2頭しか出走しておらず、やはり、ディープインパクトとは異なるところがあるこのダービー馬の、種牡馬としての特徴がこういうところに出ていると思わせていたと思う。 キズナの場合、その産駒の守備範囲は、1800米から2000米を中心にした中距離という見方が強いが、年を重ねて行くうちに、その可能性が大きくなっていくというのが、ひとつの考え方だ。配合をくり返すうちに、これまでに見られなかった産駒の適性が新たになっていく、そこに競馬のロマンがあると言っていいだろう。 今年は、こうした思いを後押しするように久しぶりにキズナ産駒が3頭も出走してきた。京都外回りのマイル戦はプラスに働くと思うので、2歳女王の座も現実味をおびてきた。 中でも、ブラウンラチェットのレースセンスの良さは光っている。中山のデビュー戦は1800米で勝ち、2戦目の東京アルテミスSは、スローペースで折り合いをつけ、進路が開くと一瞬の脚で抜け出し、好タイムで勝っている。半兄に、ダート重賞を国内外で5勝し、ケンタッキーダービー3着、BCクラシック3着のフォーエバーヤングという頼もしい存在がいるし、アルテミスS組はこの10年で5勝、8連対という好成績があり、今後も含めて注目していきたい。 他のキズナ産駒ミストレス、ショウナンザナドゥはアルテミスSの2、3着馬。リフレッシュ放牧の成果を注視したい。初の外国調教馬、米国のメイデイレディは、人馬共に注目できる。 「来春は さらに大きく 花ひらく」