女性ホルモンが減ってきたら「ややぽっちゃり」を目指しましょう。痩せ気味女性は、体重をちょっと増やすだけで「疲れやすい」「冷え」の解消にも
◆体重を減らさない努力が必要 日々の診療を通じて私が気になっているのが、女性の「痩せすぎ」問題。もちろん生活習慣病につながるような肥満は避けねばなりませんが、エストロゲンは脂肪組織からも作られますし、筋肉量を維持するためにも、閉経後は多少ぽっちゃりしているぐらいが健康的と言えます。 シニア女性の適正体重より低めだった人が、食事に気をつけ、2~3kg体重を増やしただけで、「疲れやすい」「冷え」などの不調が改善し、元気になることも。 痩せすぎによって気をつけたいのが、サルコペニア(筋肉量の減少にともなう身体機能の低下)やフレイル(心身の虚弱)です。これらが進むと、要介護状態に陥る大きな原因になります。 更年期以降は骨も筋肉も減りやすくなるため、栄養バランスのとれた食事を心がけ、定期的に軽い運動も続けましょう。起床時間を一定にし、日中は活動的に過ごして質のよい睡眠をとることも大切です。 アフター更年期の不調には、こうした日々の「養生」が効果を発揮することも珍しくありません。
そのほか、自分の健康について日頃から相談できる「かかりつけ医」を見つけておくことも大事な備え。高齢期は急に体調が変化することがあるため、定期的に通院して「元気な時の様子」を医師に知っておいてもらうと、重篤な病気の発見につながりやすいからです。 選び方がわからないという人は、不安のある症状の専門医がいる内科を選ぶといいでしょう。老化にともなう症状、疾患の全体に詳しい内科医は老年科専門医です。日本老年医学会のHPでは、老年科専門医がいる医療機関を探すこともできますので参考にしてください。 診察時は、気になっている症状のメモやこれまでの健康情報(健康診断の結果票、既往歴、服薬歴、手術歴、骨粗しょう症やがんなど遺伝に関わる病気の家族歴、アレルギーの有無、たばこやアルコールの摂取状況)、お薬手帳などを持参すると診療時間を有効に使うことができるでしょう。 次の記事から、アフター更年期に起こりがちな不調とその対処法をお伝えします。ぜひ参考にして、今後の長い人生を笑顔で元気に過ごしてください。 (構成=山田真理)
宮尾益理子
【関連記事】
- 頭痛、疲労・倦怠感、めまい、冷え、むくみ、便秘・下痢…。女性ホルモン減少に伴う、アフター更年期の不調と症状別対処法
- 膝痛、手指の痛み・しびれ・こわばり、目の不調、難聴、頻尿・尿もれ…。アフター更年期の不調と症状別対処法。60代以降の適正体重とは?
- 【アフター更年期】若い頃の自分に言いたい「自分を大切にしてほしい」「料理を作りすぎないで。美食はやめて」「子育てが終われば夫も他人」
- 「アフター更年期」に待っていた体の不調からトラブルが!誰に相談したらいい?不安感、尿漏れ、聞こえの悪さ…読者の「リアルな声」を大調査
- 【婦人科医に聞くアフター更年期】多い悩みはGSM。オススメは骨盤底筋を鍛える運動。メンタル不調には、社会と接点を持つこと、体を動かすこと