【日本での欠点はボディサイズぐらい?】 ランドローバー・レンジローバーSV P510e 目下PHEV強化中
進む電動化プロジェクト
執筆:Tomohiro Aoyama(青山朋弘) JLR(ジャガー・ランドローバー)が進める電動化プロジェクトは、今年2024年から特にランドローバーで加速度的に進んでいくようだ。 【写真】ランドローバー・レンジローバーPHEV SV P510e試乗の様子をみる (26枚) 39年のネット・ゼロ・カーボン(車両だけでなく生産工程や工場などすべてにおいてのCO2排出ゼロ)実現を目指した取り組みは、今年を含めあと15年。今年の大きな一歩としてランドローバーが選択したのが、PHEVの強化だった。 すべての顧客がBEV(電気自動車)に対応できるわけではないと踏んだJLRは、ジャガーをBEV化する一方で、ランドローバーにはPHEV化を推進。24年中にランドローバーはPHEVモデルを2→7へと一気に増やすようだ。 理由にはPHEVが今のニーズにマッチしている点、そしてランドローバーのPHEV技術がクラストップレベルだという点を挙げている。レンジローバーに限ってはBEVの発表も24年中に予定されているが、今後しばらくはPHEVがメインとなっていくのだろう。 今回試乗したレンジローバーのPHEVモデル「P510e」(MY23)は、3L直6ターボエンジンに105kWの電気モーターを組み合わせたシステムを搭載。グレード名どおり510psの最大出力を誇る。 カタログ値で最大113kmをモーターで航続可能で、普通充電に加えてCHAdeMOの急速充電にも対応しているところはユーザーに嬉しいポイントだ。22年の5代目登場時に加わったレンジローバーのPHEVモデルだが、現在はモーター出力が上がり550psにまでパワーアップしている。
日常的な運転を電動パワートレインで
ランドローバーがとった統計によれば、現オーナーのほとんどが日常的な運転を電動パワートレインで済ますことができるという。 このレンジローバーPHEVもそれに準じて、モーターの作動領域は広い。3トンクラスのボディを軽々と加速させるモーターのパワーにも驚くが、乗ってみれば意外にも電動範囲が広いことに驚くだろう。 普段の生活範囲では、もしかしたら一度もエンジンがかからないで済むかもしれない。停止からの出だしが少々のんびりとした加速に感じられたが、それも慣れの問題。電動パワートレインの動力性能には不満は感じられなかった。 もちろんエンジンがかかってからの動きも申し分ない。ひと度アクセルを踏み込めば、フォンとエンジンが反応し直6ユニットならではの滑らかな回転上昇とともに鋭い加速が始まる。 最新のP550eでは、0→100km/h加速はわずか5.0秒。3トンクラスのSUVとは思えない加速感が、いとも簡単に、かつ気持ちよく味わえる。 そして、重量級かつ背の高い大型SUVとは感じさせない、ニュートラルなハンドリングも美点のひとつだ。ワインディングに持ち込んでも、むしろ運転を楽しめるくらいよく走ってくれる。 これはフロア下に重量物であるバッテリーを収めているということも寄与しているのだろう。自分の意図した方向へ素直に頭を向けてくれるから、大型SUVだということを忘れてしまう。そのくらい機敏性を感じられた。