NGではない、ゲームやスマホとの新しい関係性--自然と子どもの身体を繋げるゲームの可能性とは
■ルールのない世界の楽しさ 窪田:ルールのない世界の楽しさは、子どもたちにも気づいてもらいたいですね。 春山:そうですね。とはいえ、私がゲームを完全には否定しないもう一つの理由があります。テレビやスマホの画面にゲーム性を立ち上げるのはあまりいいとは思っていませんが、「これなら」というのがありまして……。 窪田:ぜひお聞かせください。 春山:現実世界にゲーム性を立ち上げるものはありかと。例えば「ポケモンGO」や「ドラゴンクエストウォーク」。自分たちが歩くことによってアイテムを得ることができたりモンスターに出会えたりする。これならゲームを通じて、自分を取り巻く世界が広げ豊かにすることが可能です。
窪田:なるほど。閉鎖的な空間に閉じこもってゲームに勤しむのはオススメできないが、身体性を伴うゲームなら「自分が動くことで見える景色が変わる」ことを体感するきっかけなる可能性があるということですね。それは屋外に出て太陽光を浴びられるという点でも、眼科医として賛同します。 春山:そうですね。人間と自然をどうつなげられるかと考えたときに、その手段としてのゲームはありだと思いますし、むしろ可能性も感じています。
もしかしたら、それがきっかけで私のようにゲームを手放す子どももいるかもしれない。また、仮想空間ではなく現実社会において、自分の力でゲーム性を立ち上げるほうが既存のゲームよりも面白いと思う人も出てくるかもしれませんね。 ■自分が起点となって動くことの面白さ 窪田:春山さんが起業したときのお話にもつながるとも感じました。ゲームの世界はある種他人任せ。自分が動く、つまり自分でビジネスを立ち上げることで見える景色を変えることができますよね。私も自分が動く楽しさを子どもの頃に知ることができたので、過去にアメリカで起業をし、現在も創薬ベンチャー企業を経営しています。
春山:社会にインパクトを与える手法が変わってきましたよね。私が尊敬する写真家の星野道夫さんや登山家の植村直己さんは、厳しい自然の中で身体で表現行為をする文字通りの冒険家であり、その姿勢で社会にインパクトを与えていました。ですが、今の人類は、昔ながらの冒険や探検を求めていないといいますか……。 窪田:世界最高峰のエベレストに植村さんが日本人として初登頂してから、半世紀以上が経ちました。これまでに延べ1万人以上がエベレストに登頂したともいわれています。時代は変わりましたよね。