COP29が開幕、脱炭素の国際協調が焦点… アメリカの協力見通せず
【バクー=天沢正裕、田中洋一郎】国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が11日、アゼルバイジャンの首都バクーで開幕した。今月の米大統領選で温暖化対策に後ろ向きなドナルド・トランプ前大統領が勝利し、今後の米国の協力が見通せなくなる中、国際社会が脱炭素で協調できるか真価が問われる。 【図】世界の平均気温の推移、右肩上がりで過去最高に
各国は、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」に基づき、排出削減目標を策定し、温暖化対策に取り組んでいる。しかし国連環境計画(UNEP)によると、2023年の排出量は前年比1・3%増の571億トンと過去最高を記録した。開会式で議長に選出されたアゼルバイジャンのムフタル・ババエフ環境・天然資源相は、「気候変動により、我々は滅亡への途上にある」と強い危機感を表明。各国が来年2月までに国連に提出する35年までの削減目標について、「世界の温暖化対策を軌道に乗せる最後のチャンスだ」と述べ、目標の引き上げを要請した。
また、途上国の温暖化対策支援として先進国が拠出する「気候資金」上積みも主要議題に決まった。しかし、世界2位の排出国・米国のトランプ次期大統領は大統領選でパリ協定からの再離脱を主張、バイデン政権が約束した資金拠出を撤回する方針を明らかにした。世界の気候変動対策の見通しは不透明感を増している。
COP29は22日までの会期中、190超の国・地域の代表らが温暖化対策を話し合う。日本は人工衛星による温室効果ガス測定技術の提供など各種支援策を表明する方針。