水道工事中に古代ギリシャのモザイク画が出土! いにしえの富裕層の贅沢な生活を反映
ギリシャ・エレトリアで水道管工事中に、モザイクで彩られた床面が見つかった。黒、黄、赤の小石で作られたモザイクには、ギリシア神話のワイン醸造、豊穣、享楽の神ディオニューソスの仲間である半人半獣の精霊、サテュロスの2人組が象られている。少年と思われる1人は葦笛を吹いており、成人と推測される1人はその音色に合わせて踊っているように見える。ギリシャ文化スポーツ省はこの発見を発表した声明で、「最も特徴的なのは、黄色い小石で髪を表現していることで、人物にリアリズムと生き生きとした表情を与えている」とコメントし、表現のユニークさ、そしてモザイクの床の保存状態の良さを称えた。
人類が最初にエレトリア付近に定住したのは新石器時代後期にあたる紀元前900から1400年。『イーリアス』や『オデュッセイア』の著者である詩人ホメロスによれば、エレトリアは伝説的なトロイア戦争に参加した都市国家のひとつだった。紀元前800年代に、エレトリアとその姉妹都市のカルキスはイタリア沿岸に植民地を築き、エーゲ海のいくつかの島々の支配権を得て、裕福な交易大国に発展した。 ギリシャ文化スポーツ省の声明によると、紀元前300年代には、富裕層の間で客をもてなすための中庭や大宴会場を備えた邸宅がブームとなり、床にはモザイクが施されたという。今回見つかったモザイクもその頃に作られたものだが、周囲には段差があり、そこはかつてベッドやリクライニングチェアがあったことを示している。裕福な人々は、友人やビジネス・パートナー、政治的盟友を招いて度々晩餐会を開いたが、彼らは食事の時に座らずに、横になっていたことが知られている。モザイクに描かれたキャラクターは、大量のワインやエキゾチックな料理が振る舞われる享楽的な宴にふさわしいイメージだったのだ。 その後この邸宅はペロポネソス戦争を経て廃墟となる。そして紀元前400年から500年にかけては東方から伝来したキリスト教の教会が建てられ、墓地として使われていたことが分かっている。 ギリシャ文化省によると、今回発見されたモザイク画はギリシャ記念物評議会の地方支部の管理下に置かれ、損傷を防ぐために保護されているという。言うまでもなく水道管の工事は、この場所を迂回するように変更された。
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