「共に復興を目指す同志に」能登で災害ボランティアに取り組む地元出身女性に迫る
地元石川で被災。地元の人間がやらねば
そんな中、今年の元旦に地元石川で発生した能登半島地震。熊本支援チームのメンバーにも、新田さんを含めて被災したメンバーがいた。そんな仲間を助けようということで、すぐさま熊本支援チームのメンバーが能登に駆けつけた。 「災害ボランティアの本質って仲間を助けることだと思います。熊本支援チームの代表もよく言っていますが、全国に仲間がいて、互いが助け合う。これこそが究極の防災だと思います」 発災直後は、炊き出しや必要物資の運搬など生きるための支援を中心に取り組んだ。新田さんたち石川在住のメンバーは被災者でありながらも、災害ボランティアとして活動した。 「やっぱり、長く地域に残って活動していくのは地元の人間だと思います。そこで、石川在住の私たちが頑張ろうと思いました。3月頃から、生きるための支援から、家財道具の運び出しやコミュニティ支援といった次のフェーズへと支援ニーズが変化してきました。そのタイミングで、熊本支援チームの活動を引き継ぐ形で地元に若者が中心となって能登半島支援チームを立ち上げました」
被災者とボランティアの関係性を超えて
直近の活動の中心は、被災のため取り壊しになる家屋の中から家財道具を運び出す活動だ。ボランティアメンバーは、災害が無ければそのまま家族の歴史を紡いでいったはずの大切な品々を、思い話と共に大切に運び出していく。口コミなどで、団体に直接依頼してくる地域の方も少なくないという。地域の方々とボランティアスタッフの、助ける、助けられるといった関係ではないフラットな関係性が印象的だ。 「いろいろな災害ボランティアを経験した中で、やはり被災された方々は『こんなにボランティアの皆さんに手伝って貰って申し訳ない』という負い目を感じてしまうことが少なくありませんでした。そこで、私たちも助けてもらうことにしました。例えば、ボランティアスタッフの食事とか。夜ご飯作ってもらえませんか?って言うと、喜んで作ってくれる地域のお母さんたちが集まってきました。一緒に復興を目指す同志のような存在になっていっています。ボランティアが終わって宿泊拠点で夕食を食べるのですが、地域の方々も一緒に食事をすることも珍しくないです」 能登半島支援チームの活動には、地元の若者だけでなく全国からボランティアが集まり、その数は累計2,300名にのぼる。他の地域で災害ボランティアを経験した若者たちが、リーダーとなって地元石川で始めた活動が、また新たな経験者を生み出し、将来の災害ボランティアリーダーを育てているようにも感じた。