久保建英がレアル・マドリード戦の「ゲームチェンジャー」になる 代表戦でも圧巻のプレー
【ゲームチェンジャーになる可能性】 たとえば、ラ・レアルの選手で、久保以外に日本代表に食い込める選手が何人いるか? GKアレックス・レミーロ、MFマルティン・スビメンディ、FWミケル・オヤルサバルの3人プラスMFブライス・メンデスといったところだろう。一方、レアル・マドリードの選手はスターティングイレブンがほぼ全員入るだろうし、ほかにも5、6人は食い込むはずだ。 それほどの戦力差がある相手に、久保は孤軍奮闘で挑まないといけない。 一方で、必ず勝機があるのが、サッカーというスポーツでもある。 久保は右サイドアタッカーを任されることになるだろうが、ゲームチェンジャーになる可能性があるのだ。 久保が対峙するレアル・マドリードの左サイドバックは、フランス代表フェルラン・メンディになりそうだが、最近は不安定なプレーが多い。昨シーズンは、本来ボランチのフランス代表エドゥアルド・カマヴィンガが代役を務めていたほど。今シーズンも、メンディは開幕戦のマジョルカ戦で浅野拓磨のスピードに苛ついたのか、最後は退場処分だった。ベティス戦ではコンディションの問題か、交代を余儀なくされている。 久保がメンディを翻弄できれば、先手を打てるだろう。若いフラン・ガルシアが抜擢される可能性もあるが、どのみち久保の敵ではない。また、センターバックでカバーに入るアントニオ・リュディガーも、しばしばアジア人選手をバカにしたようなプレーを見せるだけに、今回も侮っているようなら波乱を起こすのに"もってこい"だ。 久保のゴール、もしくはアシストが見られる希望は十分にあるだろう。ただし......。 レアル・マドリードのカルロ・アンチェロッティ監督は、勝負の天才である。人を使う手腕は卓抜。大局を見極めて、勝利に結びつく流れを作ってくるだろう。 そもそも、たとえ久保に一発を放り込まれても、エムバペ、ヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴ、ジュード・ベリンガムの攻撃力が沈黙するとは思えない。フェデリコ・バルベルデのキック一発で勝負を決められるし、勝負どころではルカ・モドリッチ、ブライム・ディアス、エンドリッキという新旧のスターが投じられるだろう。そして左利きアルダ・ギュレルは破格のファンタジスタだ。
ラ・レアルの勝利の可能性は20%弱で、引き分けに持ち込めたら御の字だろう。その確率をひっくり返すとすれば、やはり久保になるに違いない。今の彼にはそれだけの予感がある。 「世界に冠たるレアル・マドリードにふさわしい選手」 その称号を勝ち取る舞台だ。
小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki