「人はなぜ罪を犯すのか」一青窈さんが専門家に聞く 犯罪心理学者・出口保行さんを訪ねて【前編】
■子どもたちはサインを出している 一青:今はSNSも発達していて、誰かとコミュニケーションを取る手段が無数にありますよね。それでも、自分の気持ちを誰もわかってくれないと思って一線を越えてしまうのは、もはやどうすることもできないものなのでしょうか。 出口:いえ、そうとは言い切れません。 よく観察すると、子どもたちは「そういう方向に行くよ、行くよ」というサインを出し続けているものです。 ところが、先ほどの例のように、何でも「良かれ」と思ってやっている親だと、そのサインが自分に対して発されていることだと気づかないまま通り過ぎてしまう。それが続くと、あるとき、子どもはドカンと爆発してしまうからです。
ですが、多くの親はそのサインに気づくものではないでしょうか。「良かれ」だけではない親であるならば。 そもそも、初めから「犯罪者」という人間は存在していない。誰しもが一線を越えてしまう可能性がある。それでは、一見「ごく普通」と思える家庭から、なぜ犯罪者が生まれてしまうのか。 前編で一青さんは出口さんを通じてその背景に迫った。後編は、さらに踏み込んで、近年増加している「現代ならでは」の犯罪へと話題が移行していく。
【→→後編:一青窈が問う「闇バイトや無敵の人」犯罪の深層】
川下 和彦 :クリエイティブディレクター/習慣化エバンジェリスト