「俺を誰だと思ってるんだ!」…年金月33万円・退職金2,000万円で平穏な老後を送るはずが、スーパーを荒らす〈カスハラ老人〉へと変貌。67歳・元経理部長の老後崩壊の発端となった「年金機構からの通知」【FPの助言】
家庭も失い、収入も減り、「特売コーナー」に通い詰める日々に
ミツルさんは金銭感覚にルーズで、予算を立てて支出を管理する習慣もありません。毎月なにをいくら使っているのか、ほとんど把握していませんでした。そうしたなか、月2.5万円とはいえ、月々の収入が減ったことに、ミツルさんは不安を感じます。 また、もともと退職したら妻や友人と旅行やゴルフを楽しもうと計画を立てていたミツルさんですが、妻はもういませんし、友人にも断られるようになりました。「こないだ行ったばかりじゃないか」「体力的にキツくて」「家族と海外旅行に行ってるから」……。 自分では人望があると思っていたものの、それは現役時代の話。かつての取引先を誘うわけにもいかず、社会的地位を失った今、話をする相手にも事欠くようになりました。 そんななか、唯一、新しくできた話し相手は、行きつけのスーパーの店員でした。 食事の準備もこれまでは妻に任せきりだったので、自炊をする習慣もありません。そのため、ミツルさんは時間を合わせて、近くのスーパーの特売コーナーに出向き、弁当や惣菜、酒を買い込むようになりました。同じ店員と毎日顔を合わせることから、その日の天気やニュースなど、次第に軽い世間話を投げかけるようになります。店員は「接客の一環」としてにこやかに対応していたのですが、なにを勘違いしたのか、ミツルさんはだんだんと自分を“特別なお客様”だと思い込んでしまったようです。 特売となる時間帯は店内も忙しく、なかなかミツルさんの話し相手になってくれる状態ではありません。すると、自分を尊重してくれないとミツルさんは思わず声を荒らげます。「オイ! 客がここにいるのになにをしている! 俺を誰だと思ってるんだ!」。 ミツルさんのせいか、やがてその店員は姿を見せなくなりました。スーパー側からは、いわゆる“カスハラ客”として要注意人物扱いとなり、最終的に店長から、「出入り禁止」を言い渡されてしまいました。 窮地に追い込まれたミツルさんは、「FP」への相談を決意 お金もなくなり、妻も友人も話し相手もいなくなり、孤立無援となったミツルさん。誰かに相談したいと考えましたが、お金の悩みを相談できる知人は周囲にいません。いろいろ調べたあげく、思い切ってFPに相談してみることにしました。
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