金本阪神「超変革」の死角
昨年までは、福原忍(39)からオ・スンファンにつなぐ信頼できる2イニングがあったが、今季は、福原がわずか8試合で防御率5.40と打ち込まれ4月下旬に2軍落ち、新外国人のラフェエル・ドリス(28)を昇格させ、マテオとの“DMコンビ”が勝利の方程式を作りかけたが、そのドリスも故障で2軍落ちして崩壊。マテオも他球団に対策を練られ、コントロールの精度が壁になってきた。マテオが出てきても3人で終わる雰囲気がない。 18日の中日戦から3試合連続でホールドをマークした石崎剛(25)の度胸と、ややサイドから投げ入れる150キロ近いボールとフォークのコンビネーションに初顔合わせチームは面食らったが、故障で2軍落ち。ボールだけでいえば、育成上がりの田面巧二郎(25)も面白いが、いいところ後ろから3人前の位置。FAで中日から移籍してきた左腕の高橋聡文(32)らが奮闘しているが、あくまでもワンポイントで、彼らがブルペンを支えるプラス1、プラス2の存在になってこないと、中継ぎ陣の計算は立たない。 打者の育成に関しては、金本ー掛布2軍監督という球界屈指の打撃理論を持つ2人がタッグを組んでいるので磐石だが、投手陣の「超変革」を前に進めるスタッフに関しては、広島OBの大野豊氏に入閣を断られるなど、組閣のスタート時から不安視されていた。 継投についても、矢野作戦兼バッテリーコーチが経験不足を露呈して何試合か潰した。はからずも心配されていた死角が表面化してしまったが、今後どういう手立てで乗り切っていくのか。現在、勝率5割。昨年のヤクルトの優勝が典型例だったが、勝率5割前後で推移しながら優勝の機会を伺うには、中継ぎ、抑えの3イニングの安定度が重要である。 「ブルペンをしっかりと整備していくチームが、今後、交流戦を経て混セを抜け出すきっかけをつかむのではないか」とは、前述の池田さんの見立て。 幸いにして、巨人、広島、ヤクルトも、ここの整備に手間取っており、阪神だけの死角というわけではない。言い換えれば、どのチームが最初にブルペンを安定させるかが、長丁場のペナントレースの行方を決めていくキーポイント。金本阪神は、「超変革」の死角を今後、どう解消していくのだろうか。