「ジェットスター・ジャパン」でストが頻発する理由。ライバルのLCC・ピーチとの違いとは【訂正アリ】
組合側に取材を申し込むが…
筆者は組合側に3度ホームページの問い合わせから取材したい旨を申し入れたが、音沙汰は無かった。また、SNSのメッセージを通じても取材希望を伝えたが、返信は無かった。 このような状態では、組合員の声を代弁しようもその術がない。組合側の記者会見は同日29日に厚生労働省の記者クラブで行われたようだ。会社側の記者レク開催は、直前だったことを説明した。 会社側は、JCAの記者会見の開催と時を同じくするために取材陣を分散する手法を取ったものと推測される(JCA記者会見の時間が不明のため筆者私見)。ジェットスター広報部からは「事実として、報道関係者を分散させる意図は全くございません」と申し入れがあった。
血の滲むような労使間闘争の結果
組合はX(旧ツイッター)などSNSやYouTubeチャンネルを使った告知を頻繁に行っているがどこまで活用ができているか未知数だ。 筆者が知る限り、外資系エアラインで勤務する日本人パイロットからの激励の発信が多かった。彼らの中には国交省の日系エアラインに対する抑圧(私見)に耐え切れず、海外に出た優秀なパイロットも多いと感じている。 彼らは一様に、JCAを真摯に応援している。ある機長は、米国のパイロットの過去の労使交渉を引合いに、現在のパイロットの地位向上は、過去の仲間の血の滲むような労使間闘争の結果に得られたものと説明した。 JCAの報告に「そこには弁護士を立てなければ」とのアドバイスもあった。JCAはどこまで理解したのかは、連絡が取れていない以上知るよしもないが、マスコミを避けるのではなく、協力を仰いで味方にしてほしかったと考える。
競合「ピーチ アビエーション」の事例
筆者は、この騒動がLCCで起きたことを懸念した。LCCだからコストを削減するために人件費まで削減したのでは、安全性を保つことはできない。そうであって欲しくないというのが偽らざる願いだ。 そこで、同社のライバルになるピーチ アビエーションの実態を知るべく、同社広報部に確認すると、次の回答を得た。「弊社には組合組織はありません。社員の立候補による『社員代表』が存在し、会社側と定期的に待遇改善なども議題にし、改善を図っています」と聞かせてくれた。 具体的な交渉内容を聞くと「過去には、有期雇用社員を無期雇用に変更した事例があります。また、コロナ禍での客室乗務員職は、仕事が蒸発したために、副業制度を設けました」と説明してくれた。 同社は、客室乗務員の採用に経験は全く求めていない。「オーディション」と名付けた採用では、多職種からの応募があるという。それがコロナ禍では功を奏した。元の業種に戻って働くことのできた社員がいたのだ。ピーチアビエーションの社長以下執行役員も含めた人事政策はES(Employee Satisfaction=従業員満足度)の考え方が根付いているという。