【陸上】28歳桐生祥秀、あふれた“走る喜び”「ワクワクしている」3大会連続五輪へいざ決勝へ
<陸上:日本選手権>◇29日◇第3日◇新潟・デンカビッグスワンスタジアム◇男子100メートル準決勝 3大会連続のオリンピック(五輪)出場が懸かる桐生祥秀(28=日本生命)が決勝進出を決め、走る喜びをあふれさせた。 予選を10秒21(追い風0・3メートル)で通過し、約4時間後の準決勝では10秒20(追い風0・1メートル)。レース前には、この日運動会だった幼稚園に通う長男へ「パパ、1番で帰ってくる」と宣言していた。その誓いは果たせなかったが「大人は大きい運動会で頑張ろうという気持ちでやっていた」とさわやかに汗をぬぐった。 今大会前の今季屋外ベストは10秒36。春先は体調不良にも悩まされた。それでも日本選手権へ向け、必死に状態を上げてきた。この日は2レースともシーズンベストを更新し「熱もないし、足も痛くない。楽しくできる」と充実感を漂わせた。 8人による今日30日の決勝では、参加標準記録(10秒00)を突破した上で優勝すれば、パリ代表に一発内定となる。21年東京五輪代表の山縣亮太と多田修平がコンディション不良などで出場を断念する中、日本一を決める舞台に挑めることが何よりの至福だ。 「何も体に問題がない状態で立てる。自分の力を出せることにワクワクしている。何も考えずに一本ガツンといく」 日本短距離界を引っ張ってきた28歳が、全力疾走に思いを込める。【藤塚大輔】