【課題】大阪・関西万博 建設遅れ、費用の増額、機運の低迷…様々な課題の解決は? いよいよ開幕の年 記憶に残る万博を作り上げることはできるのか
158の国・地域が参加する「大阪・関西万博」が4月13日に開幕する。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」で、80を超える個性的なパビリオンが出展。「空飛ぶクルマ」や「自動運転バス」といった次世代の乗り物、「iPS細胞から作った心臓」や「3Dプリンターで作った培養肉」など、これからの私たちの生活を支えることになるかもしれない様々な最新技術が大阪の人工島・夢洲に集結する。 「相次ぐ費用の増額」や「パビリオンの建設遅れ」など、これまで様々な課題も指摘されてきたが、3ヵ月後、無事、開幕の時を迎えることはできるのだろうか。
■『今のままだと赤字になる』伸び悩む入場券の売れ行きに不安の声 SNS時代の情報発信の難しさも露呈
「今が踊り場なのは仕方ない。勝負は2月、3月だ」 開幕まで4か月を切った2024年12月下旬、前売り入場券の売れ行きが伸び悩んでいることについて万博協会の幹部に尋ねると、このような答えが返ってきた。大阪・関西万博の開幕が近づいているが、機運はなかなか高まってこない。 三菱総合研究所は、2021年から半年ごとに大阪・関西万博に関するアンケート調査を実施しているが、2024年10月の最新の調査では、万博に「行きたい」と答えた人は「24%」と前回から3ポイント減少。『過去最低』になったという。 この結果について、万博協会の副会長でもある大阪府の吉村洋文知事は「(開幕が)近づいているのに『行きたい』の割合が上がっていないのは問題。中身の発信が不十分なんだろう。年明け以降、中身が具体化するので積極的に発信していきたい」と話した。 しかし、万博協会のある幹部は今の時代ならではの情報発信の難しさを打ち明ける。「海外の国々にも、自国のパビリオンについてもっと発信してほしいけれど、今の時代、SNSで情報がすぐに世界中に拡散してしまうので“ネタバレ”を恐れて発信を躊躇されてしまう」のだと言う。
「機運の低迷」に関係者が頭を悩ませるワケ…それはこれまで何度も批判にさらされてきた「カネ」の問題につながるからだ。万博を運営するために必要な「運営費」は約1160億円となる見通しだが、その大半は入場券の売り上げで賄われる計画だ。 しかし、肝心の入場券の売れ行きは芳しくない。2023年11月から販売を開始した前売り入場券の販売枚数は、12月25日現在で、約746万枚と未だ目標の1400万枚の5割強に留まっている。このうち610万枚強は企業などへの販売で、一般への販売は、130万枚強と伸び悩んでいる。万博協会のある幹部は、「今の状況のままだと、赤字になると正直みんな思っている。入場券の売り方をもっと真剣に考えていかなければならない」と話す。 すでに経済界からは、赤字になった場合に、さらなる費用負担を求められないか懸念する声まで上がっている。