「まだ動く!?」ドアプラグ破損のアラスカ航空機事故、4900m上空から落ちたiPhoneは無事だった
2000万回以上閲覧される注目の話題に
この発見は海外で広く報じられたほか、ソーシャルメディア上で話題を集めた。ベイツさんのポストは約3週間で2080万回以上表示されている。 発見されたiPhoneは、減圧による衝撃のすさまじさを物語る。米CBSニュースは、iPhoneの充電端子内に、引きちぎられたケーブルの端子が残されたままであったと報じている。ケーブルを接続した状態で急減圧に見舞われ、ケーブルを破断して機外へ舞い出たとみられる。 iPhoneが無事だった理由についてニューヨーク・ポスト紙は、保護ケースを装着していたことが幸いしたとの見方を示している。シュピゲン社の耐衝撃ケース「クライオアーマー」が装着されていた。同シリーズは「軍用認定を受けた落下防止機能」を謳う。
薄型のスマホに働いた、大きな空気抵抗
約4900mの落下をiPhoneが耐えた理由について、専門家は物理学の観点から分析している。オスロ大学・理論天体物理学研究所のポスドク研究員であるダンカン・ワッツ氏は、ワシントン・ポストに対し、無傷であった理由を科学的見地から説明した。 「基本的な答えは空気抵抗です」とワッツ氏は語る。「直感に反するようですが、空から落ちてくるiPhoneには空気抵抗が働くため、それほど速くは移動しないのです」 ワッツ氏は落下の原則を、「携帯電話の画面が地面に向かった状態で落下している場合には、かなりの(空気)抵抗を受けます。一方、垂直に落下している場合は、かなり少なくなります」と再確認。そのうえで、「現実には(落下中に)相当に回転したと考えられますので、これによって相応の量の風を受け、結果として相当な上向きの力が生じたことでしょう」との見立てを示している。
着地場所にも助けられた?
ワッツ氏はまた、重力による加速と空気抵抗はある時点で釣り合い、加速が停止するとも解説している。終端速度と呼ばれるこの段階に達したあとは、それ以上速度が上がることはない。 理論上は最終的に30mph(約48km/h)で地表に到達した可能性があるが、幸いにも落下地点が草地であったため、衝撃の多くを逃がすことができたのでは、とワッツ氏はみている。 装着していた保護ケース、空気抵抗、そして草地への落下と、数々の要因が生んだ不幸中の幸いとなった。
文:青葉やまと