タトゥーのインク”には発がん性物質が! 「悪性リンパ腫」リスク21%増加との研究報告
スウェーデンのルンド大学らの研究グループは、「タトゥーを入れた人は、数年後に悪性リンパ腫と診断される確率が21%高くなる」と発表しました。この内容について上医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
研究グループが発表した内容とは?
編集部: スウェーデンのルンド大学らの研究グループが発表した内容について教えてください。 上先生: 今回紹介する研究は、スウェーデンのルンド大学らの研究グループが実施したもので、研究結果は学術誌「eClinicalMedicine」に掲載されています。 研究グループは、スウェーデンの全国がん登録データベースから、条件にあった1万1905人を対象に研究を開始しました。研究対象者には調査票が送られ、タトゥーの有無やタトゥーを入れた時期・大きさなどについて情報を集めました。 調査票に対して、悪性リンパ腫と診断された人の54%にあたる1398人、対照群の47%にあたる4193人から回答が集まりました。 研究の結果、タトゥーのある人はリンパ腫全体のリスクが21%高くなると判明しました。また、リンパ腫のリスクが高まる時期については、最初にタトゥーを入れてから2年未満の人で最も高いこともわかりました。 こうしたリスクはタトゥーを入れてから3~10年で減少しましたが、11年以上前に最初のタトゥーを入れた人では再びリスクが増加しました。 研究グループは、今回得られた結果から「タトゥーが悪性リンパ腫のリスク上昇と関連することが示唆された。因果関係を証明するためには、さらなる疫学的研究が早急に必要である」と結論付けています。
研究を実施した背景とは?
編集部: 今回の研究を実施した背景について教えてください。 上先生: 研究グループが発表した論文では、「タトゥーの人気は近年高まっているが、長期的な健康への影響については明らかになっていない」と指摘しています。 タトゥーで使われるインクには、第一級芳香族アミン、多環芳香族炭化水素、金属などの発がん性化学物質が含まれています。タトゥー施術は免疫学的反応を引き起こし、タトゥーインクの注入部位からの移動を引き起こします。 タトゥー色素のリンパ節への沈着は確認されていることから、研究グループはタトゥーの露出と悪性リンパ腫との関連を調査しました。