覚醒した“ジャンプの天才”佐藤駿「強気で行かないと優勝はできない」メンタルの成長と磨かれた4回転ルッツで挑む全日本
12月20日から開幕する全日本フィギュアスケート選手権。 今シーズン、武器の4回転ルッツの成功率がアップし、好調なのが佐藤駿(20)だ。 【写真を見る】「やってやったぞ」と拳を客席に向けた2023年の全日本選手権 GPシリーズ中国大会で優勝し、GPファイナルでは初めて表彰台にのぼるなど、ついに覚醒した。 そんな佐藤の意気込みは、昨シーズンとは違う。今シーズン、自信を得た佐藤は「優勝」しか見ていない。
着氷率は80%超
日本の現役選手で唯一操ることのできる高難度ジャンプ、4回転ルッツ。 佐藤は初めてこのジャンプを跳ぶことができた、高校1年生のときのことをこう振り返る。 「初めて挑戦したときに、すごく感触がよくて。挑戦したときから自分の武器にしたいと思っていた」 そんな佐藤の出身は、羽生結弦さんや荒川静香さんと同じ仙台市。数々の名選手が生まれた地で彼のスケート人生もはじまった。 才能が開いたのは8年前。全日本ノービス選手権で史上4人目となる4連覇を達成する。 そして15歳で挑んだジュニアGPファイナルでは、4回転ルッツを成功させ、当時の世界最高点をたたき出し、「佐藤駿」の名を世に知らしめた。 4回転ルッツが彼にとっての武器ではあるが、今はさらにその武器をブラッシュアップしたいと意欲を見せる。 「自分の武器として4回転ルッツが大きい。けれど海外の選手たちは誰でも跳ぶジャンプでもあるので、そこでいかに差をつけるか、もっと加点のつく4回転ルッツを自分の武器にできるようにしたい」 今シーズン、会心の演技を披露してきた佐藤の4回転ルッツの着氷率は脅威の82%を記録し、さらに磨きがかかっている。
メンタルでの成長を実感
「(鍵山)優真と出場して、僕も一緒に表彰台にのぼりたいという気持ちが強かったので、一緒にのぼることができたことがすごくうれしい。すごくうれしい気持ちでいっぱいでした」 こう振り返るのは、自身初の表彰台入りを果たした先日のGPファイナル。 帰国後のインタビューで佐藤は今シーズン、好調の要因を「メンタルの成長」と分析する。 「昨シーズンと比べてメンタル面で強くなったと感じていて、勝負強さや試合に出ると緊張して思うような演技ができなかったことが多いけど、今シーズンはそういうことがなく本当に楽しくできている。自信につながるような練習を毎日積み重ねて頑張っているので、そのおかげもあり、メンタル面も強くなった」 シニアとして戦う5年間を思い返しても、佐藤は「メンタル面の成長」を挙げ、「5年を振り返って一番変わった、成長した部分だと感じている」とする。 「今までの自分はちょっと気弱な、どこか失敗を恐れていた部分があって、それが表情にも出ていた。まだ表情に出てしまう部分もありますが、前よりも強くなり、試合に対して“やってやる”というか挑戦する気持ちがすごく強くなった」 身についた勝負強さを糧に挑む全日本。