中間選挙で“信任” 「トランプ化」進むアメリカ政治
トランプ氏にすがる選挙戦
実際に、民主党側の優勢も伝えられていたインディアナ、テキサスの2つの州の上院選ではトランプ大統領が熱烈に応援し、情勢を変えた。特にテキサスの場合、2016年の大統領選挙で互いに「嘘つき」と言い合ったテッド・クルーズ候補を支え、「嘘つきテッド」ではなく「素晴らしいテッド(beautiful Ted)」と記者の前でほめたたえた。 僅差で再集計に入ったフロリダ州知事選・上院選も「トランプ効果」があったとみえて、共和党側が優勢である。このうち知事選のデサンティス候補は、ジョージア州知事選(11日現在、決着つかず)のケンプ候補とともに、「ミニ・トランプ」といわれる候補の代表格として全米の話題となった。予備選段階での妻と子供も登場するデサンティス氏の選挙CMでは、実際に自分の子供に「壁をつくれ」と呼びかけて積み木で「壁」をつくらせ、トランプ氏の自伝を手に取り「読み聴かせた」映像では、「お前はクビだ(You're fired)」というトランプ氏のテレビ番組での決め言葉の部分で締めくくっている。 このようにトランプ氏にすがって勝利しようとした候補が続出したのが、今回の中間選挙の特徴でもある。
「トランプ党」になった共和党
共和党は「トランプ党」に大きく変貌しつつあるのかもしれない。下院の大きな流れを見ても、共和党がより純化したトランプ党になる過程のようにも見える。 アメリカの場合、全米を通じて「都市=民主党」「郊外=共和党」「田舎=共和党」と支持が極めて明確になる傾向がある。人口動態と共和・民主両党の政策の方向性の関連から考えると明らかであり、都市の場合、人種マイノリティも多いほか、所得再配分を望む低所得者層も少なくない。郊外の場合、豊かで規制緩和や減税を望む層が多い。田舎の場合には特に中西部や南部の場合、宗教保守層の割合が多い。 今回の選挙では、下院は「田舎」で共和党が盤石だったという顕著な傾向があり、宗教保守層のトランプ支援があらためて裏付けられた。一方「郊外」ではまだ共和党も優勢だが、民主党側も大きく躍進したのが今回のもう一つの傾向だった。「郊外での民主党躍進」は「田舎での共和党の盤石さ」を目立たせる結果でもあった。