森崎ウィン、北海道で自然と戯れる──「エンターテイナーとしてもっと高みを目指したい」
旅の季節が今年もやってきた。クルマは、我々を見知らぬ土地へ誘う。かつての若きジェントルマンは旅を通し、見聞を広め、人生を豊かにしてきた。GQ JAPANはこの秋、千葉、丹波篠山、沖縄、北海道の新しい旅を提案する。クルマを相棒に、いざ、グランドツーリングへ。 【写真を見る】森崎ウィンの北海道旅
ダン・ピアソンがデザインした悠大な庭へ
「9歳のころ両親の都合で東京へ移住。国は違えど、生まれてからずっと街での生活です。でも幼少期の思い出やキャンプとの出会いもあって田舎=自然への憧れが強くて」 そう話す森崎が次に目指したのは「十勝千年の森」。日高山脈北端の麓、清水町にある400ヘクタールもの敷地を持つ森林施設で、林光繁(十勝毎日新聞社顧問)が「持続可能な社会」や「カーボンオフセット」を思い、1991年に用地取得を始め2008年にグランドオープンさせた。 テーマが異なる5つのガーデンから構成され、その設計は世界有数のガーデンデザイナーであるダン・ピアソンが担い、「世界で最も美しい庭」と称される。施設内にはガーデンカフェやアクティビティ体験なども用意される。「十勝千年の森」までコテージから“わずか”50km。北海道のスケール、森崎のグランドツーリング観からすれば目と鼻の先だ。その道中で語ってくれた幼少期のこと。 「うちの家系は運転が好き。おばあちゃんは特に(笑)。小さな頃、車で旅をする恒例の家族行事があって、郊外へ向かうルート66みたいな道に入る並木道にある仏像で安全祈願をしてから出発するんです。そこからおばあちゃんが2~3時間運転する。助手席は僕の定位置。車内には洋楽やミャンマーポップスが流れている。その時間が本当に好きだったな」 北の大地の一本道を走りながら優しい風の調べをBGMに森崎は話を続ける。 「車はずっと好きで、29歳で初めて車を手に入れました。そこは自分だけの音響空間で、家よりも音楽を聴く場所。今はカントリーやモータウンをよく聴いています。車検証ケースに、おばあちゃんが送ってくれた有名な僧侶の写真をお守り代わりに挟んでいます。あの安全祈願が心に残っていて」。心温まるエピソードを聞きながら「十勝千年の森」に到着。野の草花が茂るメドウガーデンを抜けアースガーデンへ。蒼いパノラマの大地を眺め、「こうして自然に身を委ね自分を見つめると、こう感じるんです。街にいると肩書や立場、いらない鎧をまとっているって」