【ビジネスの極意】ドラッカーの名言にある「全体最適」とは?| 全体最適と部分最適との違い、メリットやデメリットを解説
全体最適と部分最適の使い分け例
ここまでの解説で分かる通り、全体最適と部分最適にはいくつかの違いがあります。先ほどドラッカーの名言を引用しましたが、適切な場面で使い分けることで、企業全体の効率化を進めることが可能になります。 ここでは、全体最適と部分最適の使い分けの例を解説していきます。 ◆全体最適が求められる場面例 全体最適が求められる場面としては、組織全体で解決すべき課題があるときが挙げられます。 例えば、アニメ制作会社は、予算や人材不足の中で可能な限り高品質のアニメ作品を作る必要があります。これは、ただアニメーターだけで最適化するだけでなく、経理、制作進行、プロデュース、音楽など、領域を超えて最適化を目指す必要があるでしょう。 このような全体最適は、企業を代表する経営者が主導する必要があります。 ◆部分最適が求められる場面例 部分最適が求められる場面として、特定の領域のみで明確な課題が発生しているときが挙げられます。 例えば、「決算業務でミスがよく出る」といった課題は、企業全体の課題というよりは、経理部を中心とした領域だと考えられます。この場合、経理部の部分最適に集中した方がスピーディーに課題を解決できるでしょう。
全体最適による5つのメリット
全体最適によるメリットとしては、以下の5つが挙げられます。 ・コストを削減できる ・役割を明確にできる ・選択と集中ができる ・ミスを減らせる ・意思決定のスピードが速くなる それぞれ詳しく解説していきます。 ◆メリット1:コストを削減できる 全体最適のメリットとして、まず挙げられるのがコスト削減です。 全体最適では企業としての利益を最大化するために、無駄な業務や事業を削減していきます。ITツールの積極的な活用も行うことで、結果的にこれまで無駄にリソースを割いていた業務を削減でき、お金や人件費がカットされるのです。 無駄なコストを削減できれば、その分だけ利益が増え、株主への配当や新規事業の投資に回せるようになります。 ◆メリット2:役割を明確にできる 全体最適のメリットとして、役割の明確化が挙げられます。 ビジネスの基本は分業です。それぞれの企業で得意なことに専念することで、世界は経済発展してきました。企業内でも部署や従業員によって得意なことは異なります。それぞれ得意なことに専念できるように役割を与えておくことで、従業員は自分の役割を明確にイメージでき、集中して仕事に取り組めるようになるのです。 ◆メリット3:選択と集中ができる 全体最適のメリットとして「選択と集中」ができることが挙げられます。 「選択と集中」とは、特定の事業領域を選択し、そこにリソースを集中させる経営のことです。「選択と集中」によって特定の事業をスピーディーに成長させ、素早く結果を出せるようになると考えられています。 そして、「選択と集中」を実施するには、まずは最適化によって無駄なリソースをカットすることが必要です。それを特定の事業に投資できるようにリソース配分の効率化を行うことこそが、全体最適化といえます。 ◆メリット4:ミスを減らせる 全体最適のメリットとして、ミスを減らせることが挙げられます。 例えば、ITツールを導入すればヒューマンエラーを減らすことが可能です。業務の工数や従業員が抱えている業務を整理できれば、適切なマネジメントが実施できるので、締切に遅れることが無くなります。そのうえ、部門間のコミュニケーションがスムーズになるため、報・連・相のミスも減らせるはずです。 全体最適を実施できれば連携がスムーズになるので、結果としてミスが減ります。 ◆メリット5:意思決定のスピードが速くなる 全体最適のメリットとして、意思決定のスピードが速くなることも挙げられます。 全体最適によって従業員の役割が明確になり、選択と集中を実施できれば、経営者が特定の領域に専念できるようになります。それによって、意思決定の速度も上がるでしょう。 現代社会では、意思決定のスピードが極めて重要視されているため、意思決定が速くなるのは大きなメリットです。全体最適を実施して、経営スピードを速くしていきましょう。