【ビジネスの極意】ドラッカーの名言にある「全体最適」とは?| 全体最適と部分最適との違い、メリットやデメリットを解説
全体最適に関する名言
経営学者のピーター・ドラッカーの「いかに優れた部分最適も全体最適には勝てない」という名言があります。 例えば、「経営コストを削減する」と意思決定したとしましょう。その際に、まず経理部を最適化するとします。経理部は、企業全体の経営コストを削減するために、さまざまなコスト削減策を考えます。 しかし、冷静に考えてみると、経営コストというものは企業全体で発生しているものです。社内全体でITツールを導入したり、勤務時間を朝型にしたりするなどして、ようやく社内全体でコストを削減できます。 ある特定の部署が最適化を図っても、社内全体の最適化にはかなわないのです。
全体最適と部分最適の共通点・違いについて
先ほどのドラッカーの名言にもあった通り、全体最適の対になる「部分最適」という単語があります。 ここでは部分最適について解説し、それに加えて全体最適との共通点や違いについて解説していきます。 ◆部分最適とは何? 部分最適は「全体の中の一部や個人が最適化すること」です。 例えば、社内でも営業部だけが最適化を図る場合は部分最適となります。また、とある部署が特定のITツールを導入する場合も部分最適になると考えられます。なお、英語では「Partial Optimization」と呼ばれ、意味は「部分的な最適化」となります。 ドラッガーの残した言葉からは「部分最適は全体最適に叶わない」となりますが、部分最適は範囲が限られているからこその「迅速さ」などのメリットがあります。全体最適との使い分けが重要です。 ◆全体最適と部分最適の共通点 全体最適と部分最適の共通点として、どちらも利益最大化のために最適化を目指していることが挙げられます。 全体最適の場合は経営者視点で、部分最適の場合は従業員目線で最適化が行われて、リソースを効率的に運用できるようになります。 ただし、注意点として、部分最適の合計が全体最適にならないことが挙げられます。営業部が効率化され受注数が増えても、製造部が生産数ではなく商品単価を追求する場合など、部分最適同士でバッティングすることがあるからです。 ◆全体最適と部分最適の違いとは? 全体最適と部分最適の違いとしては、その領域の大きさが挙げられます。 全体最適は、マネージャーや経営者が企業全体の最適化を目指します。 一方で、部分最適は、各部門や従業員一人ひとりが最適化を目指すアプローチです。そのため、全体最適を目指すつもりであっても、経営者の現場視点の不足で、部分的な業務効率化で終わることがあります。逆に、従業員一人ひとりが経営者と同じ視点を持つことは難しいので、個人主導で全体最適を目指すのも難しいです。