加藤大翔、フランスF4で本格フォーミュラデビューもタイトル候補に名乗り。その秘訣はシミュレータとコミュ力?
今年フランスF4で本格フォーミュラレースデビューを果たした加藤大翔。シーズン折り返しとなるラウンド4を終えた時点では、トップから10ポイント差のランキング3番手と、チャンピオンも狙える位置に付けている。 【動画】「僕の可愛い目つきを表現してくれてます!(照笑)」角田裕毅、VERDYとのコラボグッズに感激 サマーブレイクを迎えて日本に一時帰国した加藤は、シーズン前半戦は悔しさも残るものの、シミュレータを使った事前準備やヨーロッパ流のコミュニケーションスタイルがコース上のパフォーマンスにおいて重要だと考え、実践しているという。 加藤は昨年のホンダ・レーシングスクール・鈴鹿(HRS)フォーミュラでスカラシップを獲得し、今年から渡欧。フランスはル・マンに拠点を構え、フランス自動車技術連盟(FFSA)傘下のF4シリーズを戦っている。 カート時代から物怖じしない性格の加藤。レーシングドライバーとしての生活とも両立しつつ、フランスでの暮らしを楽しんでいるようだ。 「向こうでの暮らしはめちゃめちゃ楽しいですね」と加藤は語った。 「エンジニアと『お昼ご飯を一緒に食べに行こうよ』みたいな感じで、色々なレストランを発掘したり、このパン屋とあそこのパン屋はクロワッサンがちょっと違うってなったり、楽しいですね」 「でも、ちゃんと身体は動かしていますよ! 現地で自転車を買いました。移動手段はトラムがあるんですけど、それを使ってしまうと甘えて身体を動かさないなと思ったので、僕の寮からFFSAまで20分ちょっとかけて、週3~4回通っています」 1ラウンド3レース制のフランスF4。加藤はラウンド4を終えて2勝をマークした。 ラウンド3が開催されたベルギーのスパ・フランコルシャンでは、加藤は1勝を含め3レース全てで表彰台に登ったが、ここでは特にシミュレータでの準備が存分に発揮されたという。 加藤はFFSAにあるシミュレータだけでなく、スポンサーであるSTRASSE RACINGのサポートを受けて自前のシミュレータをフランスの自室に設置し、「走っていない時も走っている」という。 「スパ戦は練習走行が30分1本しかなくて、『やばい、対応できるかな』って不安だったんですけど、シミュレータで目を瞑っても覚えているくらい走り込みました」 加藤はそう振り返った。 「1000周くらいしたんじゃないですかね? リアルでピットアウトした時に『あ、いつもの感覚だ』となりました。それはどこのサーキットも一緒ですが、特にスパでそう感じました」 また加藤は、ラウンド1からエンジニアと深いコミュニケーションを取っていれば、デビュー戦から勝利を掴むことができていたかもしれないと悔しさを滲ませる一方で、今後のキャリアにおいて貴重な学びを得ることができたと振り返った。 エンジニアとのコミュニケーションは最初からスムーズに運んだか? そう尋ねると、加藤は次のように答えた。 「スムーズだったと思います。しかし今考えると、もっとできたかなと思います。最初は少し遠慮してしまったんです」 「でも1ヵ月もしたら、全てさらけ出していました。プライベートなことでもなんでも話します。『こんな料理を作ったよ』『ここ行ったよ』とか、しょうもないことでも全部エンジニアに話すようになりました」 「向こうの人はそういうコミュニケーションが大好きですし、大事だと思います」 「僕もそういうのが楽しいですし、連絡もかなりマメなタイプです。日本に帰って来てからも、日本食の写真を送って『来いよ。日本楽しいぞ』という感じです」 「最初の時も全然問題ないくらいコミュニケーションできましたが、ラウンド1でももっとコミュニケーションできていたら勝てていたかもしれない、もっとできることがあったかもしれない。そう思うと少し悔しいですし、やり残したかなと思います」 「来シーズン、新しいエンジニアになった時には、そういうことがないようにしていきたいと思ったラウンド1でしたね」 そして加藤はチームを鼓舞するために、積極的に声掛けを行なっていると明かした。 「表彰台に載った時は一緒に写真を撮ろうと言っています」と加藤は言う。 「『絶対俺たちならできる』『攻め続けよう』『明日は絶対勝てる』『ポールポジションが獲れる』と、必ず言葉に出すようにしています。そういったコミュニケーションは取っています」 加藤は日本での短いサマーブレイクを過ごし、再びフランスへ。8月23日からはマニクールでのラウンド5に挑むこととなる。今季残るは3ラウンド。加藤の今後に目が離せない。
滑川 寛, 田中 健一
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