金星探査機「あかつき」の観測成果 JAXA会見(全文3)スーパーローテーションとは反対方向
高緯度から赤道に向けて雲が集まるような
これで得られた結果が非常に面白くて、これはLIRで観測した昼側での雲の動きの典型例になります。ちょっと、南北方向の風の動きを見やすくするために、スーパーローテーションの動きをキャンセルした絵になっています。ちょっと目を凝らして見ていただけなきゃ分からないかもですけども、赤道から高緯度、極のほうに向かって雲が広がっていく様子というのがLIRによって可視化されました。 実はこういう絵は紫外波長でも得られていて、これがまず見れてすごく良かったと思ったんですけど、やはり本命は夜側でした。これはLIRならではの画像になります。夜側での雲の動きというのを初めてムービーとして可視化することができました。これはまさに、このムービーからして世界初の成果で、ただムービーを見ていてさらに驚きが、ちょっとこれも目を凝らしていただかないと判別しないかもですけども、夜は、極から、高緯度から赤道に向けて雲が集まっているかのような、そんな動きが見えてきました。 ちょっと比較してみますと、昼は赤道から高緯度に雲が広がっていく、夜はまったく正反対で、高緯度から赤道に向かって雲が集まっていくような、そういう流れが見られました。ここに今書いたとおりですけども、夜側で赤道に向かう流れというのが見られました。これは実は理論的に予想されていた流れなんですけれども、観測的に得られたというのは世界初になります。ここまでが、われわれ研究者が5年間データを見ていて、欲しい、欲しいと思っていたデータが、学生さんの新しい発想によって、まさに可視化できたというのは非常にうれしく思っているところでございます。 手短にですが、最後何をしていきたいかと。これから何をしていきたいかを簡単にお話しさせていただきます。得られた「あかつき」のデータというのがございます。一方で、われわれ同時にシミュレーションというのも持っています。金星のシミュレーションというのを持っています。そうすると、金星のシミュレーションから、同じ高度の温度の分布、熱潮汐波がつくる温度の分布というのを比較することができます。