結果としてのSDGs。「えんがお」が取り組む持続可能な福祉
行動指針は「自分たちが楽しいかどうか」
しかし、えんがおの活動が大きくなって関わる人が増えてくると、必然的にニーズの数も多くなってくる。そのとき、応えるニーズはどのように選ぶのだろう。 「僕たちの行動指針の一つは『自分たちが楽しんでできるか?』ということです。地域にニーズがあるけれど、まだそれを自分たちが楽しんでできる自信はないので、まだ『えんがお』が手を広げていない取り組みもあります。やはり、自分たちが楽しんで活動をしないと、人は集まらないんですよね。 自分たちの心を削ってまで支援を行っていると、それは団体スタッフにとってはマイナスで、いくら支援されている人がプラスでも、全体の幸福の総量はプラマイゼロになってしまうように思うんですね。 僕個人は、『えんがお』の活動を続けていく中で、大変さを感じることはあまりありません。やはり、顔が見える人のニーズに答えつつ、自分も楽しいと思えることをやっているので。『あのおばあちゃんが求めているから地域食堂をやろう』という風に活動は始まります。だから、そのおばあちゃんの予定に合わせて地域食堂をやる曜日が決まったりするわけです(笑)」 「自分が楽しめているか」。この視点は重要だ。楽しめているからこそ、活動の持続性も生まれて、継続的な支援が可能になる。「楽しさ」にこだわることが「持続可能性」を生み出している。
地域の人とのちょうどいい関係性とは
もちろん、活動の中では、楽しいことだけがあるわけではない。 「活動をしていく中では、トラブルが9割です(笑)。例えば、空き家を活用していくときには大家さんとのコミュニケーションが必要になるんですが、そこでも多くの失敗がありました。そのとき気づいたのは、空き家の貸し借りについて1対1でやりとりをしてしまうと後で苦労する、ということです。ちゃんと不動産業者を介してやり取りをする方がいい。空き家に関する活動はトラブルと隣り合わせなので、それとうまく付き合っていくしかないですね」