結果としてのSDGs。「えんがお」が取り組む持続可能な福祉
こちらは学童保育の「えんがお児童クラブ」。他の施設より少しスタイリッシュな佇まいなのは、保護者が安心して子どもを預けられるようにするため。
なんとここ、玄関の横に足湯がある。足を寄せ合いながら、学童保育の子どもと地域サロンにいる高齢者が交流することもあるらしい。
学童保育の子どもたちは、近くにあるこの空き地で遊ぶことができる。元気な子どもたちの声が響く。代表の濱野さんも、子どもたちのサッカーに加わる。
この空き地で遊んでいるのは、学童保育の子どもたちだけではない。「えんがお」が運営するフリースクールの子どもも来る。昼間は違う学校で学んでいる子どもたちが、放課後は同じ空き地で遊ぶのだ。このごちゃまぜ感が面白い。
「徒歩2分圏内」のチカラ
これらの他にも地域食堂やシェアハウスなど、さまざまな種類があり、その施設すべては「徒歩2分圏内」にある。どうして、「徒歩2分圏内」にしたのだろうか。これについて「えんがお」代表の濱野さんはこう語る。 「高齢者や障がいのある人でも、それぞれの施設を行き来できる距離だからです。それぞれの施設が近いことで、いろんな人がごちゃ混ぜになって交流できるんです。学童保育の子と障がいのある人と大学生が一緒にYouTubeを見て、その横におばあちゃんがいるーー。そんな光景が生まれるんです」 いろんな人をごちゃ混ぜにすること。これは、「えんがお」が活動のはじめから意識していることだ。 元々「えんがお」は、地域で孤立している高齢者が多いことと、地元のために何かしたいと思う大学生とをつなげる活動から始まったと濱野さんは言う。理学療法士として働くかたわら、濱野さんは大学生たちを連れて高齢者の家を訪ね、生活の手伝いなどをした。徐々にその取り組みが大きくなり、現在に至っている。地域の人をどのように交流させるのか、という想いが「えんがお」の活動を作る。
ニーズが自然と活動を広げる
8つの施設は、「えんがお」が始まってから現在までの7年で徐々に増えていったという。それらはどのように増えていったのだろうか。 「いつの間にか増えたな、と感じています(笑)。施設を作るときに重要視しているのは『ニーズがあるかどうか』です。最初は『みんなの家』だけのつもりだったんですが、その後に『みんなで食べる場所が欲しい』というニーズができて、そのタイミングで目の前にあった食堂が空いて、家賃も手頃だったので、そこを地域食堂として活用することになりました。 その後に学生さんがたくさん来るようになって、彼らの宿泊場所が欲しいということで、また別の空き家を見つけて宿泊スペースを作りました。ニーズがあって、それに合わせる形で自然と施設はできてきました。僕たちの取り組みは徹底して『ニーズ先行』ですね」 「えんがお」の活動は「必要があるからそれに応える」という形で行われている。理想を追い求めているというより、もっと自然体な活動なのだ。自然体だからこそ、その活動は続いていく。濱野さん自体は「SDGs」を気にして活動をしているわけではないというが、そこには確かに「持続可能性」が生まれている。