「怒られると立ち直れない」繊細な人の心を軽くした、セルフケアより効果的な方法
誰でも叱責されるのはつらいものです。「怒られるのが怖いから、人と関わりたくない」そう思ってしまう人もいるかもしれません。対人関係への恐怖心は、どうやったら和らげることができるのでしょうか? 書籍『「ToDoリスト」は捨てていい。』から紹介します。 人間関係が良くなる8か条 ※本稿は、佐々木正悟著『「ToDoリスト」は捨てていい。』(大和出版)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
怒られたら、自分以外の誰かをケアする
「人に怒られると立ち直れなくなる」と人並み以上に思い悩んでいたのは私でした。だから私は、誰にも怒られることのない「物書き」を仕事に選んだのです。物書きだって、たとえば「編集さん」に怒られるのではないかと思う人もいるでしょう。でもそういうことは、めったにありません。 また、極端な話をするなら「怒られたら辞めてしまえばいい」と以前は思っていました。会社員とちがってひとつの企画をやめにしても、物書きならば続けられます。私の考え方はしかし極端すぎたといまなら思います。別に怒られたら怒られておけばよく、会社も作家もなにも辞める必要などないわけです。 しかし、そのように思えない人が「消耗」するのでしょう。私もそういう意味で、まさに「消耗する人」だったのです。 とはいえ、私の極端な考え方にも一理くらいはあったかもしれません。「本当にイヤになったら辞めればいい」と思っておけば、ちょっとしたことには耐えやすくなるものです。じつは、この「叱責」がつらいのは、叱責によって自分が傷つくというより「相手との関係が傷つく」せいです。 私は、自分が会社員はムリだと思い込んでいました。なぜなら、傷ついた関係を続けるのがつらすぎると考えたせいなのです。なんの職業に就いていても「怒られること」をゼロにはできません。セルフパブリッシング(自費出版)でひとりでものを書いて生計を立てていても、病院でお医者さんに怒られるかもしれないのです。生きている限り、誰にどう怒られるかなどわかりません。「会社に勤めない」のではまったく不十分なのです。 では、どうすればよいのでしょう? まず理想論から入ります。たとえば私でいえば、編集さんを怒らせたら編集さんとの関係をケアするべきなのです。 これは当たり前のことに思えるかもしれません。でも「気の弱い人向けのアドバイス」は、最近はとくにこうではありません。「まず自分の心をケアしましょう」となっています。 その手段として、たとえば「アロマテラピー」や「おいしいご飯」という「モノ」がすすめられます。つまり「ひとりで自分のケアをするべきだ」と考えられています。私にはこれが難しかったのです。難しいというよりうまくいきませんでした。 「理不尽に怒られた」と思うような経験は、もちろんたくさんありました。就職活動をいっさいせず、まともに会社勤めをせずに50過ぎまできたのは、なにがあっても怒られるのは許容できないパーソナリティのせいでした。それでも、ミスの多い私は怒られてしまいます。 だから「アロマテラピー」も「やさしい音楽」も「あったかくして過ごす」も「自分のためのごちそう」も「温泉」も、およそいま言われているような「セルフケアハック」はなんでも試しました。 私は極端な性格です。その類いのモノに総額で1000万円はかけているだろうし、1000通りくらいのメソッドは試しているでしょう。私にとってはお金なんかよりも、「怒られた心の煩悶」のほうがはるかに大きな課題だったわけです。しかし、こういったものはたいして役に立ちませんでした。