菅野智之 オリオールズと年俸20億円1年契約 巨人からFA、35歳オールドルーキーMLBへ
オリオールズは16日(日本時間17日)、巨人から海外フリーエージェント(FA)権を行使した菅野智之投手(35)と1年契約で合意したと発表した。複数の米メディアによると年俸は1300万ドル(約20億円)で、早くもオ軍の公式X(旧ツイッター)には日本語で「ようこそ!」と記されるなど歓迎ムード。メジャー1年目となる来季が36歳シーズンとなるオールドルーキーが、アメリカンドリームへの第一歩を踏み出す。 【写真】ハワイ優勝旅行でゴルフを満喫する菅野智之 35歳で海を渡る決断を下したオールドルーキーの新天地がオリオールズに決まった。2年連続プレーオフ進出中の強豪だが、ともに勝ち星なしに終わるなど1983年以来の世界一へ向けて課題は多い。菅野には先発の一角として期待がかかる。 昨季101勝のオ軍は今季も91勝(71敗)を挙げてア・リーグ東地区2位。だが21年サイ・ヤング賞右腕のバーンズがFAとなり、去就が未定だ。昨季4勝に低迷した菅野は今季は15勝3敗、防御率1・67と復活を果たし、ともに4年ぶりの最多勝と勝率第1位のタイトルを獲得。20年オフはポスティングシステムを申請するも合意に至らずに残留していた右腕は、今度は海外FA権を行使した。「行けなかったときの(思い)は僕の中でずっとあった」と夢を諦め切れなかった右腕に対し、巨人と同じオレンジがチームカラーで先発補強が急務だったオ軍が白羽の矢を立てた。 巨人の先輩である上原浩治もメジャー1年目の09年に所属したオ軍は早くも公式Xに日本語で「菅野智之投手、オリオールズへようこそ!」と掲載。同公式サイトでは「日本で最も歴史のある巨人で長年エースを務め、NPB史上で最も多くのタイトルを獲得した投手の一人だ」、「日本のサイ・ヤング賞(沢村賞)も2度受賞している」などと紹介した。大リーグ公式サイトも17年WBCでメジャー選手ぞろいだった米国との準決勝に先発して6回1失点(自責0)だったと紹介し、先発4番手と位置づけた。 12日までテキサス州ダラスで行われたウインターミーティングでブランドン・ハイド監督は「マイク(エライアスGM)が(先発陣を)改善しようとしていることも知っている」と明かしていた。そんな指揮官の期待に応える菅野の獲得。同地区にはジャッジが所属するヤンキース、吉田がいるレッドソックスなど強豪がそろうが、オ軍も今季37本塁打のヘンダーソン、2年連続球宴出場の捕手ラッチマンらが並ぶ。援護を受けて白星を重ねれば、来年オフはさらなる好条件での契約をつかめるかもしれない。 今月3日、ハワイ自主トレに出発前に「新しい環境に挑戦できることが楽しみで、わくわくする気持ちしかない」と語っていた菅野。日本通算136勝のプライドを胸に、憧れ続けた舞台でアメリカンドリームをつかむ。 ≪日本選手歴代5位の高年齢≫菅野が35歳でオリオールズと契約。日本選手の契約時では歴代で5番目に高い年齢だ。最年長は09年の高橋建で、広島からブルージェイズとマイナー契約を結んだ時が39歳。メッツ移籍後、同年5月に40歳でメジャーデビューした。桑田真澄は38歳でパイレーツとマイナー契約し、39歳でデビュー。小宮山悟はメ軍、藪恵壹はアスレチックスと、ともに36歳時に契約した。 ▽ボルティモア・オリオールズ 1901年創設。54年にセントルイスから東部メリーランド州のボルティモアに移転し、チーム名をオリオールズに改称。ワールドシリーズを3度制覇。OBには歴代1位の2632試合連続出場のカル・リプケンや3冠王フランク・ロビンソンら。日本選手は上原浩治や和田毅が在籍し、昨季は藤浪晋太郎がプレー。本拠は92年開場のオリオールパーク(4万5971人)。