中古マンション購入のリスク3選! 新築高騰の今、見逃せない落とし穴を解説
ポイント2:修繕費用と修繕積立金の増加による負担
マンションの修繕費用を確保するために不可欠な修繕積立金であるが、その積立方式が将来的な負担を左右する要因となる。修繕積立金の積立方式には大きく分け「均等積立方式」と「段階増額積立方式」がある。 均等積立方式はその名の通り、毎月の積立額を一定に設定する方法であり、段階増額積立金方式は、入居当初の負担を軽減するために、初期の積立額を低く設定し、後から段階的に増額していく方法だ。 1985年~1994年に完成したマンションでは、52.4%が均等積立方式を採用しているが、2015年以降に完成した新築マンションの81.2%が段階増額積立方式を採用。近年では修繕積立金の初期負担を抑える傾向があるが、この方式は将来的なリスクが潜んでいる。 完成年次別の修繕積立金の積立方式 将来的な積立金の大幅増額リスク 段階増額積立方式は、初期負担を軽減できる一方、将来的な大幅値上げのリスクがある。本調査では「長期修繕計画上と実際の修繕積立金の額に差がある」としたマンションが36.6%にのぼり、計画に対して20%以上不足しているマンションが11.7%存在することも分かった。 一方、計画に比べて余剰があるとの回答は39.9%あり、マンションごとに修繕計画の準備状況が大きく異なっているということがわかる。 さらに、昨今の物価上昇や人手不足の影響で、大規模修繕にかかる費用は増加傾向にある。修繕積立金が不足しているマンションでは、一時金の徴収や積立金の急激な引き上げが必要になることが多い。 中古マンションの場合は、管理の重要事項調査報告書によって大規模修繕の実施状況や管理組合の修繕積立金の積立額を事前に確認することができる。これにより、修繕費用の不足や管理不全のリスクをある程度見極めることが可能だ。建物の状態だけでなく、管理組合の運営や計画が適切に実施されているかを十分に確認することが重要である。 一方で、新築マンションでは積立金を段階増額積立方式で低く設定するケースが多い。例えば、2005年~2014年完成物件の平均修繕積立金は月額13,485円と低めだが、これは入居当初の負担軽減を目的としているため、将来的な増額が前提となっている。 この点を踏まえると、中古マンションでは現在の積立金額が適切かどうかだけでなく、過去の修繕履歴や長期修繕計画が実行されているかを確認することで、将来的な費用負担のリスクを避けることができるだろう。 【関連記事】 >>マンションの修繕積立金は10倍増額されるケースも! 資金不足で劣化リスクを抱える建物が増えている