ドライバーとマグロ
さて、先週のSUPER GT第6戦を終えての日曜夜の帰路。熊本阿蘇空港まで下りてきて搭乗を待っていた時のこと。待合室のシートで隣り合わせたプロフェッショナルドライバーの某氏との会話。
「翌週はS 耐だから休む暇もないね。大変だ」
「休む暇もないどころか、明日から海外に行ってテストしてきます」
「えっ!S耐を休むの!?」
「出ますよ。二日間テストしてから帰国し、岡山入りっす」
これを聞いて当方びっくり。
彼は、若手ドライバーの育成にも従事し、ドリフトのスクールも開き、S耐では参加しているチーノの他に自らのチームを参加させている超の上に超がつくほどのレーシングライフをおくっている。彼の他にもプロのレーシングドライバーは、今やとても忙しく、驚くばかり。国内トップカテゴリーで活躍している複数のプロドライバーが、ハイレベルなコンペティションを楽しんでいるジェントルマンドライバーやスポーツ走行を楽しむアマチュアドライバーにコーチイングをしている。豪華なオーガニゼーションで有名なワンメイクツーリングカー車両のオーナーに対して走行後に走行データをラップトップコンピュータで分析してアドバイス。ナンバー付きの人気スポーティ車両の走行のコーチングは、同乗走行でドライビングを伝授という具合。今やプロドライバーは自ら参加しているシリーズ以外にもこのようにして忙しい日々を過ごしている様を見聞きすることが多い。熊本阿蘇空港で会話したドライバーは、
「最近息子に、今度いつ帰ってくるのって言われるんです」と苦笑い。
そういえばボクも数多くのカテゴリーを取材して毎週末に国内を飛び回り、何度も海外にも出張していた頃、出張の朝、家を出る際に娘から、
「じゃあ、またね」と言われて手を振られ、ちょっと複雑な気持ちになったのを思い出した。ボクは、自宅でゆっくりしているのが好きです。でも、これまで出会ってきた多くのプロレーシングドライバーは、じっとしているのが不得意の御仁が多く、現役を引退してからもそれは変わらない。まるで泳いでいないと生きていられないマグロのようだ。超特急のマグロだから速さでもドライバーと同じか・・・。