凄いのに目立たない? 岡崎慎司の平凡力
しかし、そうした個人的な記録は、岡崎の頭の中にはないだろう。1対3で敗れた3日のボルシア・メンヒェングラードバッハ戦でも、キックオフ直後から何度も最終ラインの裏を狙ってスプリントを続けた。守備でもいっさい手を抜くことはなかった。実るほど頭を垂れる稲穂かな――実績を積むほどかえって謙虚になることを意味する故事が、岡崎ほど似合う男はいないのではないか。その体に宿る最強の「平凡力」は、ヨーロッパのクラブに所属するザックジャパンの攻撃陣でただ一人、安定した成績を生み出させる武器となった。 6月にブラジルの地で待つ大一番においても、マインツでの好調を持続するであろう岡崎は必ずザックジャパンの力となり得るはずだ。そのときは本田や香川と並ぶか、もしかすると2人を超える熱い視線を送られる存在になっているかもしれない。 (文責・藤江直人/スポーツライター)