子育てに必要な部屋の広さ〝計算式〟に驚き 東京・共働き「子ども2人75平方メートルの部屋」は現実的か
ファミリー物件の平均家賃は22万円
というのは、東京の住宅にかかる費用は、分譲でも賃貸でも、増加の一途を辿っているからです。 不動産情報会社アットホームの2024年6月の調査によれば、首都圏における「中古マンション」の価格動向において、東京23区は2017年1月以降最高額を更新、東京23区の最高額更新は11カ月連続でした。 東京都23区の平均価格は5330万円、平均占有面積は53.0平方メートル、平均平方メートル単価は100.6万円でした。例えば、さいたま市と比較すると、それぞれの数字は3293万円、66.9平方メートル、49.2万円。東京都23区内に中古分譲マンションを買うよりは、ベッドタウンの方が現実的ではありそうです。 また、同じ6月の調査によれば、全国主要都市の「賃貸マンション・アパート」募集家賃動向において、東京23区のマンションの平均募集家賃は、全面積帯で前年同月を上回りました。 東京都23区の面積帯別の賃貸マンションの平均家賃において、50~70平方メートルの面積帯は22万1794円、でした。これもさいたま市と比較すると、10万8908円とほぼ2倍の結果になりました。 これでも子どもが2人なら誘導居住面積水準を下回り、“手狭”な面積ですが、次の面積帯は「70平方メートル以上」と上限なくひと括りになり、それは文字どおり“住む世界が違う”ため、この面積帯の数字で計算します。 たとえ共働きで世帯年収が手取り1000万円を超えていたとしても、ボーナス(仮に年2回かつ月収1カ月分とする)を考慮すると月収に均して60~70万円。家賃に毎月22万円を支払うとすると、残り40~50万円。 総務省統計局の「家計調査年報 令和5年(2023年)」の調査結果によると、夫婦と未婚の子供1人の3人家族の生活費平均は1カ月でおよそ35.6万円。ここから子どもの学費の蓄え、自分たちの老後の蓄えのための貯金を捻出するとなると、ほとんど余裕がなくなることに気づきます。 さいたま市のマンションに引っ越すと、家賃だけで言えば月10万円分が浮いて貯金ができることになります。ただし、東京では無料の第二子の保育料は、さいたま市では半額の扱い。このように、子育て全般の出費で言うと、必ずしも引っ越して余裕が生まれるとも限らないのが難しいところです。 もう1人、子どもができたら、70平方メートル以上が部屋の目安になりますが、東京の住宅費用が高騰する中、はたしてこの広さの部屋を、東京で確保しようとする意味があるのか……。 こうして少し解像度を上げてみるだけでも、前述の保育料といったそのほかの子育ての費用もにらみつつ、支出のバランスをより一層、意識しなければいけないことがわかり、子育ては一筋縄ではいかないことを痛感するのでした。