「家族は誰も来なかった」…面会者が刑務所で見た、伝説のストリッパーの”変わり果てた姿”
「ここへ来てよかった」
「夜は眠れますか」 「はい、ぐっすり眠れます」 2人でしばらくとりとめのない話をした後、一条はこう語っている。 「ここへ来てよかったと思っています。ご飯がおいしいんですのよ。麦が入ってて。働くのが楽しくて、ミシン覚えました。今は炊事を専門にやってます。テレビを見る時間もあるんですよ。小沢さんのテレビ見ましたよ」 「それはよかった。心身の健康のため、みんなもここに入るといいですね」 小沢が冗談を言うと、一条はうつむきながら笑った。 彼女の顔が以前と違っていると小沢は思った。懲役に服している彼女は、働く者の顔になっていた。 「あなたの目が澄んできれいなのに安心しました。今までもいっぱいつらいことをはねのけて闘いぬいてきたんです。頑張ってください」 小沢は出所後について、自分なりに考えを巡らせていた。更生を助けたいと思い、具体的な支援策も考えていた。それについては出所後、相談すればよい。まずは無事に刑期を終えて出所するのを心待ちにしていると伝えた。 近く刑務所では演芸会があるという。一条は踊りを披露する予定で、その稽古もしている。8月には盆踊りもある。そして、そのころには出所となる。 『「ひかえめの女性になります」...伝説のストリッパーを改心させた刑務所とフェミニストによる驚きの“支援”』へ続く
小倉 孝保(ノンフィクション作家)