小4になっても〝おねしょ〟「俺ってなんかの病気?」…自己嫌悪や劣等感 親子で追い詰められる「夜尿症」
小学生になっても子どものおねしょが続いている……。もしかしたら、それは「夜尿症」かもしれません。日本では約80万人の子どもに夜尿症があるといわれ、子どもの自尊心や学校生活の質の低下につながると指摘されています。6月3~9日は「世界夜尿症ウィーク」です。 【画像】〝夜尿症〟生活改善ポイントは
「なんかの病気?」
「前はおねしょをしていた子もいたけど、気づいたら友だちは誰もしなくなっていて『俺ってなんかの病気?』って思った」 小学4、5年生のときに夜尿症の治療を経験した男児(11)は、自分だけがおねしょをしていた状況にそう感じていました。 「どうやったら治るんだろう」と悩んでいたものの、「親に相談すると他の人にバラされるかも」と不安に思い、ひとりで抱えていたといいます。 母親によると、小学校に入学してもおむつが取れず、朝はおむつにおしっこがたまっている状態が続いたそうです。 かかりつけの小児科に相談したところ、「様子を見ましょう」という結果になりました。 定期的に受診していましたが、5年生で宿泊を伴う学習が控えていたため、4年生の3学期から本格的に治療を始めることに。日本夜尿症・尿失禁学会員の医師がいる小児科を受診し、5年生の終わりまで治療を続けました。 治療を終えた男児は、「やっと周りのみんなと同じになってめっちゃうれしかった。解放された感じ」と話します。
5歳で15%、7歳で10%が罹患
おねしょに悩む子どもや保護者のため、国際小児禁制学会などが定める「世界夜尿症ウィーク」では、「おねしょは治療できる」と呼びかけています。 日本夜尿症・尿失禁学会理事長の大友義之さん(順天堂大学教授)によると、0~2歳の子どもは反射的におしっこが出ますが、脳の発達によりおおむね3歳半を過ぎると昼間のおもらしをしなくなり、4歳頃からはおねしょをしなくなっていくそうです。 5歳以上で月1回以上のおねしょが3カ月以上続く場合、夜尿症と診断されます。5歳で15%、7歳で10%、15歳以上で1~2%に夜尿症があるといわれています。成長とともに治ることもありますが、おねしょの頻度が多い場合は自然には治りにくい傾向があるそうです。 治療には、生活改善や服薬、アラーム療法があります。 早寝早起きをして規則正しい生活を送る、塩辛いものはなるべく食べない、夕食後の水分はコップ1杯程度にして寝る前に必ずトイレに行くといった生活にすることで、1~2割の子どもはおねしょが改善するそうです。 生活を見直した上で改善が見られなかった場合は、服薬や、アラーム付きのパッドを下着に着けて眠り、おしっこが出ると知らせてくれるアラーム療法を行います。 治療を始めて半年までに、約80%の子どもの症状が軽減するという報告もあるそうです。 大友さんは「積極的に治療に入っていくほうが早く治るというデータもあります。小学生になってもおねしょがなくならず、本人や保護者が困っていたら受診をおすすめします」と話します。